内容説明
『源氏物語』『平家物語』『今昔物語集』『とはずがたり』や謡曲「隅田川」「砧」など…。日本文学と仏教との交渉は、常に古くして、しかも新しいテーマとして私たちの前にある。本書に登場するのは多くが女性である。深い悲しみの時代ゆえに、信仰の世界が一大光明となって女性の生きる魂をゆさぶるのである。
目次
浮舟の入水(ある男と女の物語;浮舟の再生)
仏教説話の世界(源信遷都の母;貧女の救済)
寂光浄土に生きる―建礼門院の生涯(運命に生きる女性;大原の里;彼岸への道)
愛と信仰の讃歌(仏は常にいませども;親鸞の告白;時衆の歌声)
煩悩と菩提―「とはずがたり」の世界(愛はなやまし;菩提を求めて)
謡曲に現われた女性―「隅田川」と「砧」(「隅田川」の母;「砧」の妻)