内容説明
源平の古戦場として名高い檀の浦を望む高松郊外の景勝地、屋島。その遊歩道に咲く藤の花の下で、同じ藤色のスーツを身にまとった美女の絞殺死体が発見された。被害者は東京でスナックを営む人妻で、夫とは離婚寸前だったらしい。死体の第一発見者となった週刊誌記者の北川真弓は、特ダネとして事件を追うことになった。真弓が取材を進めるうちに、被害者の薄幸な人生と、彼女と関係のあった複数の男が容疑者として浮かび上がってきた。だが、容疑者にはアリバイが…。アリバイ崩しの名手が贈る会心作。
著者等紹介
津村秀介[ツムラシュウスケ]
1933年、横浜市生まれ。出版社編集者、神奈川新聞嘱託、ルポライター、将棋観戦記者を経て、1982年「影の複合」でデビューする。以後、アリバイ崩しの名手として人気を博す
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感想・レビュー
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ヨーコ・オクダ
25
週刊誌記者・真弓が同僚の菅生とコンビで謎解き。東京でスナックを営んでいた滝田夫妻が離婚することになり、証人のサインをもらうために妻・陽子が出身地・高松へ向かう。数日後、藤色のスーツ姿の彼女の遺体が生家近くの藤の花の下で見つかる。水商売の人間にありがちな暗い過去、異性関係、金銭問題等々。いろいろと怪しい夫・滝田、かつてのヒモ・種岡、友人・岸本、滝田の浮気相手…有力な情報を掴んで問い詰めるも、相手には完璧なアリバイが。単純に東京と四国の距離、時間を埋める仕掛けだけでなく、別の要素も絡ませてあってエエ感じ。2021/04/17