出版社内容情報
新しい視点でファンタジーの魅力を語る。
映画『ハウルの動く城』の原作者として一躍有名になったダイアナ・ウィン・ジョーンズの一連の作品や『ハリー・ポッター』シリーズのような新しいタイプのファンタジーには、今までにはない新たな魅力があります。それはなんであるのかを探ると同時に、従来の作品に違う角度から光をあて、そのさらなる魅力を解き明かします。「ダーズリー一家のハリーいじめはギャグマンガ」「タイム・ファンタジーとしての『指輪物語』」など、独創的なファンタジー論を展開。ファンタジーがさらに楽しくなる発見の書です。
本書では以下の作品を主にとりあげました。
『トニーノの歌う魔法』『魔女と暮らせば』「キャロル・オニールの百番目の夢」(D.W.ジョーンズ)/『ハリー・ポッター』シリーズ(J.K.ローリング)/『魔よけ物語――続・砂の妖精』(イーディス・ネズビット)/『とぶ船』(ヒルダ・ルイス)/『時の旅人』(アリソン・アトリー)/『ジェニーの肖像』(ロバート・ネイサン)/「マリーン」(萩尾望都)/『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス)/『ライトニング』(ディーン・R.クーンツ)/「たった一人」(宮部みゆき)/『ホビットの冒険』『指輪物語』(J.R.R.トールキン)/『リト河出書房新社)などがある。
訳書は、O.R.メリング『妖精王の月』シリーズ(講談社)、M.ムアコック『エルリック』シリーズ(ハヤカワ文庫)、T.ブルックス『妖魔の住む街』(ハヤカワ文庫)、R・サトクリフ『ベーオウルフ』(原書房)、S.クーパー『影の王』(偕成社)、M.コーレン『トールキン 『指輪物語』を創った男』(原書房)、W.G.ハモンド、C.スカル『トールキンによる『指輪物語』の図像世界』(原書房)、D.プリングル編『図説 ファンタジー百科事典』(監訳、東洋書林)、D.デイ『図説 トールキンの指輪物語世界――神話からファンタジーへ』(原書房)など多数。
『ファンタジーの魔法空間』が第27回日本児童文学学会賞を受賞。
はじめに
Ⅰ 二つのネオ・ファンタジー
1 平面性の女王――ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
設定と身体の平面性/フラットな感情と一元的な世界/リアルという体験
2 身体性の転換――『ハリー・ポッター』
二次元と三次元の間で/「壊れない」身体と、生身の身体の往還
Ⅱ タイムファンタジーとしての『指輪物語』
1 タイムファンタジーの流れ
2 『指輪物語』における生活と物語
映像化と語り/華々しい映像――物語――と小説の生活感/虚構性とリアル
3 『指輪物語』の中の時間
ビルボの「家」と「冒険」/時空を超える装置としての予知と透視/歌枕に
よる現実と物語の往還――時空のパノラマ
Ⅲ フィギュアの物語――身体と魂
フィギュア――ミニチュアの喜び/ダウンロードされる魂/人造の身体に
勧請される魂/身体観の変容
Ⅳ 博物学の夢想
1 ファンタジーは地底をめざす
地層の発見/博物館とファンタジー/地層と時間の逆転/地下における身体
体験
2 ドードー鳥の座標
二重の生物観/博物館というコレクター/死骸への固着
Ⅴ ハイ・ファンタジーの企み
1 召命と次
内容説明
ハリー・ポッター、指輪物語、そしてダイアナ・ウィン・ジョーンズ。さあ、ネオ・ファンタジーの世界へようこそ!古今東西の作品がさらに面白くなるユニークなファンタジー論。
目次
1 二つのネオ・ファンタジー(平面性の女王―ダイアナ・ウィン・ジョーンズ;身体性の転換―『ハリー・ポッター』)
2 タイム・ファンタジーとしての『指輪物語』(タイム・ファンタジーの流れ;『指輪物語』における生活と物語;『指輪物語』の中の時間)
3 フィギュアの物語―身体と魂
4 博物学の夢想(ファンタジーは地底をめざす;ドードー鳥の座標)
5 ハイ・ファンタジーの企み(召命と次元上昇―『十二国記』というファンタジーの仕掛け;リセット・ファンタジー)
著者等紹介
井辻朱美[イツジアケミ]
歌人・作家・翻訳家。東京大学理学部生物学科をへて、同大学院比較文学比較文化修士課程修了。白百合女子大学文学部教授。専門は英米ファンタジー。『ファンタジーの魔法空間』(岩波書店)により第27回日本児童文学学会賞、『歌う石』(O・R・メリング、訳書、講談社)により第43回サンケイ児童文学賞受賞
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感想・レビュー
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