小説の迷宮―ディケンズ後期小説を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 472p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784327481421
  • NDC分類 930.28
  • Cコード C3097

出版社内容情報

ディケンズ文学の丹念な解読とラディカルな新解釈!

 これまで典型的な19世紀作家として位置づけられ、またシェイクスピアに並ぶほど世界中で読まれてきたディケンズとその小説群を、さまざまな評価と資料を渉猟しつつ、今日的テクストとして読み直す労作。特に、ディケンズの後期小説について、作家の意図、小説の構造を徹底分析した上で、20世紀のモダニズム小説やそれ以降の作家たちとも共通するテーマをはらみ、文学研究に刺激的で本質的課題を提示するものとして論述する。気鋭による本格的小説論。

目次

序 章 ディケンズは十九世紀的作家か?
第一章 ピカレスクの変貌――「ピクウィック」から「バーナビー」へ
第二章 都市の誘惑――「マーティン・チャルズウィット」
第三章 ジェンダーの相克――「ドンビー父子」
第四章 ロマンスの構築あるいは解体――「デイヴィッド・コパーフィールド」
第五章 解読のアポリア――「荒涼感」
第六章 「歴史」という織物――「辛い時代」
第七章 視線の迷宮――「リトル・ドリット」
第八章 物語のゆらぎ――「二都物語」
第九章 震える「自己」――「大いなる遺産」
第十章 漂流する身体――「互いの友」
終 章 崩壊する「自己」――「エドウィン・ドルード」
注、参考文献ほか

内容説明

ヴィクトリア朝英国の現実を、ジャーナリスティックな感性で活写した小説家チャールズ・ディケンズ。果たして彼は真に「十九世紀的」作家なのか。それまでのピカレスク小説の伝統を離れて、ディケンズ独自の小説世界を構築する過程を、後期の十作品にたどり、テクストの精緻な読みによって、複雑に織られた物語の構造と隠されたテーマとの連関を浮き彫りにする。ディケンズの現代性を解き明かす斬新な小説論。

目次

ディケンズは十九世紀的作家か?
ピカレスクの変貌―『ピクウィック・ペイパーズ』から『バーナビー・ラッジ』へ
都市の誘惑―『マーティン・チャズルウィット』
ジェンダーの相克―『ドンビー父子』
ロマンスの構築あるいは解体―『デイヴィッド・コパフィールド』
解読のアポリア―『荒涼館』
「歴史」という織物―『辛い時代』
視線の迷宮―『リトル・ドリット』
物語のゆらぎ―『二都物語』
震える「自己」―『大いなる遺産』
漂流する身体―『互いの友』
崩壊する「自己」―『エドウィン・ドルードの謎』にむけて

著者等紹介

新野緑[ニイノミドリ]
1956年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程中退。大阪大学博士(文学)。現在、神戸市外国語大学教授。英国小説専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。