出版社内容情報
日本型しつけと教育の再検討。国際的に評価されている日本の強さを生かす為には。混沌とする子どもの状況へ新たな視点を提示する。
学力やモラルの低下、意欲減退等、様々な子どもの問題が声高に叫ばれる現代、危機意識ばかりが煽られている。しかし、国際的には日本型の教育は評価され、他国のモデルとなっている面も少なくない。本書は「学力の危機」「社会性の危機」「価値の危機」の三つを軸に、外から見た「日本型」の特徴と可能性、課題を浮き彫りにする。
[関連書]本田由紀 『「家庭教育」の隘路』 (勁草書房刊)
はじめに
第Ⅰ部 学力の「危機」
第一章 世界の中の日本の学力―問題の所在
1 受験格差社会の到来?
2 アジアの受験型社会とハイ・ステークス・テスト
3 混迷する日本の教育
4 一九八〇年代に脚光を浴びた日本型の教育
第二章 日本型教育システムの再評価―学力と社会性
1 均質的な高学力の育成力が高い
2 人格形成力に優れている
3 日本の授業研究力が高い
4 教育に貢献する文化が存在する
第三章 "改革"によって崩される日本の強さ
1 平等主義日本?
2 海外のトラッキング論争から学ぶ
3 均質的高学力の再生
4 総合力としての学力
第Ⅱ部 社会性の「危機」
第四章 世界の中の日本人の社会性―問題の所在
1 西欧の後追いをしてきた日本
2 言説としての社会性の低下、実態としての社会性の低下
3 家庭のしつけ
4 "絆"の育児の落とし穴
第五章 家庭から学校へ
1 日本の就学前教育の特徴
2 日本的"自発性"
3 協力する母親
4 小学校以後の人格の形成
5 顔の見える学校
6 "絆"の教育
7 繰り返される間接統治
第六章 "絆"のしつけと教育の危機
1 個人と社会の均衡の変化
2 家庭と学校の断絶――「協力的」な家庭の終焉
3 リスク回避社会の子育て
4 保護者を含む日本型共同体・共生体
第七章 社会性と日本型教育モデル
1 日本型教育モデルの特徴
2 課題と向き合う
第Ⅲ部 価値の「危機」
第八章 東アジア的努力パターン
1 「頑張る」文化の子ども達
2 なぜ頑張るのか──努力信仰としつけ観
3 能力平等観
4 能力不平等観が意味すること
5 個人的責任論と個別化
第九章 ポスト努力主義社会日本の到来
1 「頑張らなくなる」日本の子ども達と二極分化
2 日本の価値教育
3 全人教育の再評価
4 日本の全人教育を振り返って
終 章 日本型の"光"と"影"
1 日本型共同体モデルの可能性
2 共同体的特徴
3 日本型多文化的共生体
あとがき
参考文献
事項索引・人名索引
内容説明
「日本型」しつけと教育の再検討。国際的に評価されている日本の強さを生かすためには。混沌とする今日の子どもたちの状況へ、新たな視点を提示する。
目次
第1部 学力の「危機」(世界の中の日本の学力―問題の所在;日本型教育システムの再評価―学力と社会性;“改革”によって崩される日本の強さ)
第2部 社会性の「危機」(世界の中の日本人の社会性―問題の所在;家庭から学校へ;“絆”のしつけと教育の危機;社会性と日本型教育モデル)
第3部 価値の「危機」(東アジア的努力パターン;ポスト努力主義社会日本の到来)
日本型の“光”と“影”
著者等紹介
恒吉僚子[ツネヨシリョウコ]
1961年生まれ。1990年、プリンストン大学社会学研究科、Ph.D.。文京女子大学助教授、東京大学大学院総合文化研究科助教授を経て、東京大学大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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