出版社内容情報
百マス計算や中高一貫校で学カ低下は防げない。家庭教育の迷走は続く。強くなる一方の学歴社会──中学受験の人気講師が謎を解く。
学歴社会なんてもはや幻想だという声も強いのに、「崩れたはずの」学歴を求める中学受験はブームとなり、「教育機会の不平等による階層の再生産」論が盛んになっている。かたや学歴社会は崩壊したといわれ、かたや(おそらくは学歴で捉えられる)階層が再生産されるといわれる。この「謎」を解く鍵は、いったいどこにあるのだろうか。
[関連書] 同著者 『数学に感動する頭をつくる』(ディスカバー21)、
『子どもに教えたくなる算数』(講談社)
第一章 学習状況は≪教育格差説≫を支持するか
第一節 格差再生産説は学習の実態を視野に入れていない
第ニ節 二つのハードルで学習階層は三段階に分かれる
第三節 学力低下は≪新教育≫の学習段階を無視した
一律な適用がもたらした
第四節 学力低下論者には学習状況の実態が見えていない
第五節 必要と啓蒙の2つの教育をつなぐ≪私教育≫
第六節 ≪アルゴリズム学習≫の弊害
第七節 学力再生産の仕組みは以前より崩れている
第二章 学歴社会はなぜ生まれなぜ崩れかけているのか
第一節 教育制度が≪通路≫を用意している
職業・していない職業
第ニ節 学校制度には保護される≪内側≫と
保護されぬ≪外側≫がある
第三節 教育には≪生徒支援≫でも≪人材育成≫でもない
≪統治≫という機能がある
第四節 教育政策は≪サラリーマン≫の統治に失敗した
第五節 ≪家制度≫の崩壊は≪階層固有の価値観≫も
崩壊させた
第六節 ≪学校化≫という価値観の単線化とその急激な凋落
第七節 ≪家≫という基盤なくして≪階層の再生産≫なし
第八節 ≪学力≫≪職能≫≪成功≫という三者の対応関係が
こわされた
第九節 グローバリズムの到来とともに≪科学的世界観≫が
差別化の機能を失った
第三章 グローバル経済は国家が保証する価値観をこわしつつある
第一節 グローバリズムが国家の魅力を薄めたために
平等≪感≫が機能しない
第ニ節 ≪自由という価値観の教育による伝達≫はなぜ大切か
第三節 ≪自由≫の≪敵≫は国家から経済システムに
移りつつある
第四節 グローバル経済がこわしたのは≪制度的平等≫の
奥にある≪平等感≫
第五節 初等教育を手厚くして平等感を養うのが国家による
≪統治≫の使命
背景ガイド
あとがき
内容説明
百マス計算だけでは学力崩壊は防げない。公立中高一貫校も問題解決の切り札足りえない。家庭教育は迷走しつづける現実。―数学オリンピックメダリストを育ててきた著者による謎解き。
目次
第1章 学習状況は「教育格差説」を支持するか(格差再生産説は学習の実態を視野に入れていない;二つのハードルで学習階層は三段階に分かれる;学力低下は「新教育」の学習段階を無視した一律な適用がもたらした ほか)
第2章 学歴社会はなぜ生まれなぜ崩れかけているのか(教育制度が「通路」を用意している職業・していない職業;学校制度には保護される「内側」と保護されぬ「外側」がある;教育には「生徒支援」でも「人材育成」でもない「統治」という機能がある ほか)
第3章 グローバル経済は国家が保証する価値観をこわしつつある(グローバリズムが国家の魅力を薄めたために平等「感」が機能しない;「自由という価値観の教育による伝達」はなぜ大切か;「自由」の「敵」は国家から経済システムに移りつつある ほか)
著者等紹介
栗田哲也[クリタテツヤ]
1961年生まれ。東京大学文学部中退、東京出版編集部を経て、数学オリンピックを目指す学生のための駿台英才セミナー講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。