出版社内容情報
フーコーの言説分析と構築主義アプローチを武器に、今直面する少子化、ジェンダーなどの問題点を明示し、構築主義の魅カをひき出す。
『セクシュアリティの歴史社会学』以降の論文を集大成、21世紀の社会学は何をめざすべきかを考える。言説分析、セクシュアリティなどへの深い考察から出発、構築主義にしかできない分析をすること、どのような社会が望ましいかという公共的な問いをひきうけることこそ、これからの社会学の仕事だと明確に結論づける。
[関連書] 上野千鶴子編 『構築主義とは何か』(勁草書房刊)
序章 二一世紀の社会学のために
1 社会学の光と影
2 機能主義批判の果て
3 フーコーとの出逢い
4 構築主義との出逢い
5 社会問題をめぐる言説空間における統計と理念
6 二一世紀の社会学のために
Ⅰ
第一章 言説分析とその可能性
1 はじめに
2 言説の外部には出られない
3 言説/資料の全体性/全域性
4 社会の客観性と言説の客観性
5 社会的事実としての言説空間
6 言説分析の真髄
7 言説分析を通してみる社会
第二章 言説分析と構築主義
1 二つの constructionism
2 本質主義 vs 構成主義
3 客観主義 vs 構築主義
4 言説分析の方法
第三章 言説の歴史社会学における権力問題
1 はじめに
2 <他者>としての言説
3 言説的権力という問題系
4 オナニー言説におけるジェンダー問題
5 言説の歴史社会学に権力概念は必要か
第四章 言説の歴史社会学・序説
1 はじめに
2 構築主義と言説の歴史社会学
3 言説分析と言説の歴史社会学
4 内容分析と言説の歴史社会学
5 おわりに
Ⅱ
第五章 フェミニズムに期待すること
1 はじめに
2 性支配の要因分析
3 測定なき公式・綱領主義
4 「女の視点」「女の立場」の一枚岩性の瓦解
5 理論の政治性・研究者の立場性と価値自由
第六章 ジェンダー・フリーをめぐる一考察
1 「性別・性役割からの自由」としてのジェンダー・フリー
2 「性別・性役割への自由」としてのジェンダー・フリー
3 男女共同参画社会の「隠れた家族モデル」
第七章 性差をどう考えるか
1 話を聞かない男・地図を読めない女
2 戦略的本質主義は有効か
3 ジェンダー・フリーの失敗
4 真の社会正義のために
Ⅲ
第八章 恋愛という文化/性欲という文化
1 「性愛」という概念
2 「色・淫・恋」から「恋愛/性欲二元論」へ
3 <恋愛至上主義>と<通俗性欲学>
4 性欲のエコノミー仮説
5 性=人格論
6 親密性パラダイムと「性欲/恋愛二元論」の消失
第九章 性をめぐる言説と身体
1 『性教育読本』(1948年)
2 セクシュアリティの歴史における分水嶺
3 性欲のエコノミー仮説再考
4 『セクシュアリティの歴史社会学』は近代家族還元論か
5 言説の歴史社会学をめざして
第一〇章 現代中国のオナニー言説
1 創造研での研修旅行
2 オナニーの呼称
3 手淫(自慰)はどのように問題化されているか
4 「弱い」有害論の主流化
5 オナニー必要論への変容はありうるか
第一一章 EDの社会的構築
1 セクシュアリティの歴史社会学からみたED
2 「全国にED患者○○人、にもかかわらず……」
3 男性の存在証明
4 コミュニケーション問題としてのED
5 EDの過去
6 EDの過去から現在へ
7 EDの未来
Ⅳ
第一二章 人口減少社会における選択の自由と負担の公平
1 はじめに
2 男女共同参画は少子化を防げるか・再論
3 子育て支援の最適配分
4 男女共同参画型の夫婦は「社会で最も不遇な人」か
5 子育て基金の再構想
6 おわりに
第一三章 新聞に現われた「産めよ殖やせよ」
1 はじめに
2 戦時期人口政策の概要
3 実行された人口政策
4 戦時期人口政策とは何だったのか
あとがき
参考文献
索引
初出一覧
内容説明
21世紀に社会学は生き残れるか?フーコーに出逢い、構築主義に出逢い、かつそれらを超えてセクシュアリティの歴史社会学的分析に向かう著者の中間総括。
目次
二一世紀の社会学のために
言説分析とその可能性
言説分析と構築主義
言説の歴史社会学における権力問題
言説の歴史社会学・序説
フェミニズムに期待すること
ジェンダー・フリーをめぐる一考察
性差をどう考えるか―本質主義/構築主義論争の不毛をこえて
恋愛という文化/性欲という文化
性をめぐる言説と身体
現代中国のオナニー言説
EDの社会的構築
人口減少社会における選択の自由と負担の公平―男女共同参画と子育て支援の最適配分をめぐって
新聞に現れた「産めよ殖やせよ」―『信濃毎日新聞』と『東京朝日新聞』における戦時期人口政策
著者等紹介
赤川学[アカガワマナブ]
1967年石川県に生まれる。1999年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。東京大学大学院人文社会系研究科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。