出版社内容情報
世界を構成する制度として人々の日常に組みこまれた〈性〉の具体的な姿,欲望の社会編成を活写し,理論的分析を展開する。思考の軌跡。
内容説明
日常のそこここに遍在する性の姿をあぶり出し、欲望の社会編成を暴く。
目次
序章 性現象論に何ができるか
第1章 「性的差異」の現象学―差異・時間・倫理のプログラム
第2章 「解放」への遡行―フランスMLFとセクシュアリティの問題
第3章 ジェンダーとセクシュアリティ
第4章 ジェンダーの困難―ポストモダニズムと「ジェンダー」の概念
第5章 女という迷路―性・身体・母性のスクランブル
第6章 ジェンダーと摂食障害―探求のためのノート
第7章 「性の商品化」をめぐるノート
第8章 フェミニズムをフェミニズムから「解放」するために
終章 フェミニズムを半分だけ離れて―名づけ・応答・享受
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
awe
5
ジェンダー論における必読書ながら、極めて難解で『ジェンダートラブル』の方が分かり易いんじゃないかとさえ思ってしまった。基本はバトラー的な「セックスはつねにすでにジェンダーである」という問題意識のもとに、「性」という謎について、イリガライやアルチュセール、マルクス主義フェミニズム、江原由美子の議論などを参照しつつ自説を展開する構成になっている。序章で目を引いたのは、性欲と生殖に関する議論。目的論的な世界観に生きる我々は、生殖という目的のために性欲があると考えがちだが、目的論を廃すればこの見方は必ずしも正しい2021/03/04