出版社内容情報
現在の日本における教育の機会均等、親の教育費負担と子供の学力への影響、教育を通じた子供への所得移転の変化等の課題を検証する。いまや4年制大学に進学する人が5割を超えるようになったが、その半分の学生が貸与型奨学金を利用している。この現実から、はたして日本における「教育の機会均等」はどこまで進められているのか。世帯間の所得格差が拡大するなか、貧困の親から子への連鎖を断つため、十分な制度は用意されるようになっているのか。等々を考察する。
はじめに:本書の目的意識と概要
序章 教育投資は所得階層を固定化するのか:国際比較と日本の動き[樋口美雄・萩原里紗]
1.親の所得と子どもの所得の相関
2.親の学歴と子どもの学歴
3.子どもの教育に要する費用を誰が負担しているか
4.生涯給与の学歴間格差
第1章 親の所得と大学進学率[野崎華世]
1.はじめに
2.最近の大学進学率の推移
3.地域による大学進学率の違い
4.大学進学に関わる制度の変遷
5.家計と家計を取り巻く環境の変化
6.親の所得と大学進学
7.おわりに
第2章 大学進学者にとって奨学金は重要なのか[萩原里紗・深堀遼太郎]
1.はじめに
2.奨学金と教育ローン,親族からの援助の関係
3.日本学生支援機構の奨学金の制度,利用状況,返還状況
4.おわりに
補論1 都道府県別大学進学率の変化および地元進学傾向の変化
補論2 わが国の間接給付の問題点
補論3 教育ローン
第3章 学歴間の労働所得格差は拡大しているのか[何芳・小林徹]
1.はじめに
2.日本における学歴間労働所得格差拡大の検討
3.学歴間の労働所得格差の背景にある要因
4.国際比較
5.おわりに
第4章 学歴間昇進格差は拡大したのか[佐藤一磨・石井加代子]
1.問題意識
2.分析内容および分析方法
3.役職者数の学歴間格差は拡大したのか
4.役職者割合の学歴間格差は拡大したのか
5.疑似コーホートにおける役職者割合の学歴間格差は拡大したのか
6.学歴間の役職者平均年齢は変化したのか
7.おわりに
第5章 奨学金は大学進学,大学卒業後の収入・正規雇用就業に寄与しているのか[萩原里紗・深堀遼太郎]
1.はじめに
2.奨学金の大学進学行動への影響
3.奨学金の影響に関する計量分析
4.おわりに
補論 Propensity Score Matching法とPropensity Score Weighting法
第6章 海外居住経験がその後の就業や所得に与える影響[及川純一・樋口美雄]
1.はじめに
2.先行研究
3.データ
4.海外居住経験の要因分析と英語能力との関連
5.海外居住経験が女性就業と雇用形態に与える影響
6.海外居住経験がその後の所得に与える影響
7.政策提言
終章 政策提言と今後の課題:エビデンス・ベースド・ポリシー[樋口美雄・萩原里紗]
索引
樋口 美雄[ヒグチ ヨシオ]
樋口 美雄(ひぐち よしお)
慶應義塾大学商学部教授
萩原 里紗[ハギワラ リサ]
萩原 里紗(はぎわら りさ)
明海大学経済学部講師
内容説明
4年制大学に進学する人が5割を超えるようになった今日、はたして日本における「教育の機会均等」はどこまで進められているのか。世帯間の所得格差が拡大するなか、貧困の親から子への連鎖を断つため、十分な制度は用意されているのか。親の教育費負担と子どもの学力への影響、教育を通じた子どもへの所得移転の変化等、大学への教育投資の課題を検証する。
目次
序章 教育投資は所得階層を固定化するのか:国際比較と日本の動き
第1章 親の所得と大学進学率
第2章 大学進学者にとって奨学金は重要なのか
第3章 学歴間の労働所得格差は拡大しているのか
第4章 学歴間昇進格差は拡大したのか
第5章 奨学金は大学進学、大学卒業後の収入・正規雇用就業に寄与しているのか
第6章 海外居住経験がその後の就業や所得に与える影響
終章 政策提言と今後の課題:エビデンス・ベースド・ポリシー