出版社内容情報
人々はなぜ政府の政策決定に従わなくてはならないのか。異質な価値の共存を特色とする現代社会において政策決定の複雑化や専門化は避けられないというのに、なぜそこでふつうの市民の意思が尊重されるべきなのか。公私の再編成という問題意識が高まりをみせる1990年代の現在から、グリーンやボサンケらから続く伝統という過去から、20世紀英米を代表するニ人の理論家を再読し、こうした問いへの対応を試みる。家庭や職場など社会内の集団を、集いあい語りあう感覚を育て共通善が何か人々に体得させうるものに多元化する責任を政府は負うのだ。
【目次】
序論 1990年代における多元主義とデモクラシー
1 よみがえる多元主義
2 デモクラシーと共通善
第1章 フェローシップと多元主義―20世紀における政治理論の衰退と復活
1 第三次多元主義論争
2 リンゼイの政治理論
3 多元主義者としてのリンゼイ
4 イギリス多元主義とダールの多元主義
5 ダールにとっての政治理論
6 ダールの多元主義
7 多元主義の現実と理想
第2章 多元主義における権力の問題―リンゼイとダールの政治理論の射程
1 権力
2 支配
3 正当性
第2章補論 リンゼイとダールにおける自由と権力
1 はじめに
2 自由と権力の可能性
3 ”支配にいたる権力”対”一致して行動する権力”
4 ”協調にいたる権力”
5 イギリス理想主義における自由と権力
6 おわりに
第3章 多元主義を可能にする立憲体制―R・ダールの政治理論を中心として
1 多元主義の第四の波
2 近代における憲法と立憲主義
3 国家の主権から自由な集団
4 現代立憲主義の起源と課題
5 統治に対する民衆によるコントロール
6 社会的な抑制と均衡
7 デモクラシーと現代立憲主義
8 ふつうの民衆と現代立憲主義
第4章 イギリス多元主義におけるフェローシップ―リンゼイの政治理論を中心として
2 国家と集団
3 デモクラシーとフェローシップ
4 デモクラシーと国家
5 デモクラシーとゲノッセンシャフトの諸類型
第4章補論 ボザンケと福祉における多元主義―”第三の道”を求めて
1 はじめに
2 できるようにする国家
3 コントロールする国家
4 おわりに
結語 デモクラシーの正当化
1 1990年代における代表制デモクラシーの危機
2 デモクラシーの正当化
3 ポリアーキー対ガーディアンシップ
あとがき
参考文献
索引
内容説明
家庭や職場、地域社会やボランティア団体といった社会の中の無数の集団が、ごくふつうの民衆の“集いあいの感覚にもとづく討論”をはぐくむものとなるのかどうか。利益や意見が分裂する、伝統なき社会におけるデモクラシー成否の鍵。
目次
序論 一九九〇年代における多元主義とデモクラシー
第1章 フェローシップの多元主義―二〇世紀における政治理論の衰退と復活
第2章 多元主義における権力の問題―リンゼイとダールの政治理論の射程
第2章補論 リンゼイとダールにおける自由と権力
第3章 多元主義を可能にする立憲体制―R.ダールの政治理論を中心として
第4章 イギリス多元主義におけるフェローシップ―A.D.リンゼイの政治理論を中心として
第4章補論 ボザンケと福祉における多元主義―“第三の道”を求めて
結語 デモクラシーの正当化
著者等紹介
田村浩志[タムラヒロシ]
1954年東京都に生まれる。1990年明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程退学。2001年博士(政治学)。現在、道都大学社会福祉学部教授(比較政治学・社会福祉計画論)
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