教育と政治―戦後教育史を読みなおす

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  • サイズ A5判/ページ数 285p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326250479
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C3037

内容説明

保革対立の二元的図式を超えて、教育政策―幼児から大学までから教育実践―授業論、教師論、国語教育論、雑誌文化・平和モニュメントに至る多層の歴史的現実をヘゲモニーの枠組で捉えなおす。

目次

第1部 排除される政治・持続する政治(戦後日本の知識人と平和をめぐる教育政治―「戦後教育学」の成立と日教組運動;戦後日本における少女という主体―『ひまわり』(一九四七―一九五二)の政治世界をめぐって
戦後教育における教師の権力性批判の系譜)
第2部 「よき教育」の政治学(戦後保育・幼児教育政策の歩みを見なおす―幼保二元行政システムのもたらしたもの;楽しい授業・学校論の系譜学―子ども中心主義的教育理念のアイロニー;戦後大学の「教育」化―遅れてやってきた近代化)
第3部 深層の政治(メディアとしての「国語」―西尾・時枝論争を読みなおす;記憶空間の戦後と教育―広島平和記念公園について;ポップ感覚から浮遊感覚へ―システムに響く不協和音)

著者紹介

森田尚人[モリタヒサト]
1944年生まれ、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、中央大学文学部教授

森田伸子[モリタノブコ]
1945年生まれ、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、日本女子大学人間社会学部教授

今井康雄[イマイヤスオ]
1955年生まれ、広島大学大学院教育学研究科博士課程修了、東京大学大学院教育学研究科助教授

出版社内容情報

教育が保革対立の主戦場となった特殊日本の戦後の枠組の中で、教育と政治の関連を新たな分析視点 (ミクロで遍在する権力の一形態としての教育活動)から捉え、戦後教育史を通観する。
 知識人と平和教育/戦後日本における少女という主体(中原淳一論)/教師の権力性批判の系譜/幼保二元行政/子ども中心主義教育理念のアイロニー /戦後大学の「教育」化/メディアとしての「国語」/平和記念公園/ポップから浮遊へ の9論文。

関連書:
大田尭 編著 『戦後日本教育史』(岩波書店)
小川利夫・柿沼肇 編 『戦後日本の教育理論』(ミネルヴァ書房) 他


第Ⅰ部 排除される政治・持続する政治

第1章 戦後日本の知識人と平和をめぐる教育政治
    ──「戦後教育学」の成立と日教組運動──

はじめに/戦後政治の対立軸としての教育問題
1 冷戦イデオロギーと平和問題談話会
2 平和をめぐる教育政治
3 戦後教育学のプロトタイプ

第2章 戦後日本における少女という主体
──『ひわまり』(1947-1952)の政治世界をめぐって──

1 敗戦・純白の未来・少女性
2 戦後啓蒙派の諸潮流と『ひまわり』
3 中原淳一における戦前と戦後
4 『ひまわり』の政治世界
5 戦後キリスト教と『ひまわり』
6 少女の系譜と「美しい心」
むすびにかえて/『ひまわり』の廃刊と「美しい心」の行方

第3章 戦後教育における教師の権力性批判の系譜

1 社会的なるものの勃興と教育の脱政治化
2 埼玉教育塾における教師の権力性批判
3 政治的コーディネーターとしての教師

第Ⅱ部 「よき教育」の政治学

第4章 戦後保育・幼児教育政策の歩みを見なおす
──幼保二元行政システムのもたらしたもの──

1 戦後改革と幼保の二元行政システム
2 <保育所の幼稚園化>と<幼稚園の保育所化>
3 四六答申と文部省の一元化構想の挫折
4 高度成長期の保育所政策と革新自治体の貢献
5 転換期/「コスト」という圧力の中で
6 規制緩和、地方分権、行政改革の圧力の中で/保育システムの再編成

第5章 楽しい授業・学校論の系譜学
──子ども中心主義的な教育理念のアイロニー──

1 楽しい授業・学校論を問い直す
2 授業や学校になぜ「楽しさ」が必要とされるようになったのか
3 異質な楽しさの大同団結──ボタンの最初の掛け違い
4 楽しさが要求される新たな背景
5 楽しい授業・学校論の限界

第6章 戦後大学の「教育」化

──遅れてやってきた近代化──

1 「教育」史として読みなおす戦後大学史
2 戦前の旧制大学と「教育」
3 『新制大学への道』
4 『アメリカ教育使節団報告書』
5 上原專祿の大学論
6 大学における「教育」化はなぜ遅れたのか
むすび/ユニバーサル時代の大学

第Ⅲ部 深層の政治

第7章 メディアとしての「国語」
──西尾・時枝論争を読みなおす──

1 西尾・時枝論争と戦後の国語教育論
2 論争の不可解さ(1)──争点をめぐって
3 逆転の構図
4 論争の不可解さ(2)──評価と位置づけをめぐって
5 言語と文学と「主体」
6 思考の強制
7 メディアとしての「国語」

第8章 記憶空間の戦後と教育
──広島平和記念公園について──

1 問題の所在
2 空間的モニュメント性の創出
3 祈念、記憶、慰霊──平和公園の層的構造
4 空間的次元におけるヒロシマのプロット
5 記憶の風化と永遠化
6 記憶空間のアポリアと「記憶空間の教育学」──まとめにかえて

第9章 ポップ感覚から浮遊感覚へ
──システムに響く不協和音──

1 ポスト戦後のサブカルチャーから
2 欠如感覚からポップ感覚へ
3 ポップ感覚から浮遊感覚へ
4 システムに響く不協和音
5 生身のポリティクスへ

あとがき