出版社内容情報
歴史学であればこそできる憲法解釈を示す。我々にとって今最も深刻でホットな課題である憲法問題をとりあげ、歴史的思考のあり方を示す。国家の語り方を探る試み。
日本国憲法を大日本帝国憲法の後継法として捉える視点をうち出す著者は、旧憲法を西欧立憲思想の影響としては考えず、鎌倉時代以来の歴史の発展の帰結として解こうとする。歴史の発展を内在的なものとしてみる立場から、日本の前近代社会の矛盾の展開が19世紀末の大日本帝国憲法の制定につながるとする独自の方法論を提出する。
序章 日本憲法史の方法
第一章 天皇主権の起源
1 欽定憲法であることの由来
2 近代的思惟における超越者の位置
第二章 民主主義社会の淵源
1 道理史観とは何か
2 道理の変化とその諸段階
3 平等観の形成
第三章 人間不完全の系譜
1 『八幡愚童訓』より
2 儒学の思想
3 宣長学と「悪神」
4 横井小楠の開国論
5 藤田幽谷の富国強兵論
第四章 国民代表の語り
1 憲法の必然
2 肯定される易姓革命思想
3 「大日本者神国也」
4 神国の不思議=皇統内革命
5 皇統譜の読解法
6 『神皇正統記』の歴史的射程
7 近代天皇制の天皇号と山陵へのこだわり
第五章 国民代表創出のその他の方法
1 主権の分割による方法
2 選挙による方法
3 代表創出の困難
補論 日本大学史論序説
1 森有礼の帝国大学構想
2 森の立憲政構想
3 総合大学・国家学・兵式体操・女子教育
4 森有礼の死と帝国大学の死
5 1893年の帝国大学令改正
第六章 大日本帝国憲法の確立
1 憲法の位置づけ
2 天皇親政
3 封建制の温存と貴族院の創設
4 衆議院の確立
5 社会進化論(社会有機体説)の選択
第七章 立憲制の矛盾と帝国主義
1 天皇親政の隘路
2 ナショナリズムの動員
3 美濃部憲法学説(天皇機関説)の歴史的意義
4 民本主義の位置
5 政党政治の確立
6 国家改造運動と敗戦
終章 大日本帝国憲法の後継法としての日本国憲法
注
あとがき
索引
内容説明
『愚管抄』『神皇正統記』以来の法史に分け入り、徹底した内在の論理によって日本国憲法の強さを立証する。
目次
序章 日本憲法史の方法
第1章 天皇主権の起源
第2章 民主主義社会の淵源―『愚管抄』的末法観
第3章 人間不完全観の系譜
第4章 国民代表の語り―『神皇正統記』的正統観
第5章 国民代表創出のその他の方法
補論 日本大学史論序説―森有礼と帝国大学
第6章 大日本帝国憲法の確立
第7章 立憲制の矛盾と帝国主義
終章 大日本帝国憲法の後継法としての日本国憲法
著者等紹介
小路田泰直[コジタヤスナオ]
1954年兵庫県に生まれる。1984年京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。奈良女子大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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