内容説明
情動から見えてくる人間本性。誘惑に弱く、先延ばしをする人間。経済学や認知科学の知見もまじえ、人間の不合理な側面に注目する!よみがえる情動の哲学、その全貌を紹介する第3巻!
目次
よみがえる情動の哲学
1 情動の機能(情動の本性;自己制御と誘惑;先延ばしと情動)
2 情動と不合理性(自己欺瞞;妄想とその原因)
著者等紹介
信原幸弘[ノブハラユキヒロ]
1954年、兵庫県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授
太田紘史[オオタコウジ]
1980年、大阪府生まれ。東京大学大学院総合文化研究科特任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
5
ジェイムズに関する部分が読みたくて。「常識的な見方をくつがえしたのがウィリアム・ジェームズである。ジェームズは、悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだと主張する」「突然巨大な熊が目の前に現れたら、私たちは恐怖で足がすくむだろう。このとき、アドレナリンがいつも以上に分泌され、心臓は激しく鼓動し、筋肉は強ばり…などといった変化が生じる。そして、私たちはこれらの変化を感じ(feel)とる。この経験が、ジェームズやランゲによれば、情動ーこの場合は恐怖ーなのである。この説は…ほどなく強い批判にさらされた」2020/10/12
いつき
2
特に、先延ばしに関するところと、妄想に関するところが興味深かった。前頭葉の一部(vmpfc)を損傷した患者は、選択肢同士を比較してどちらが良いかを正常に評価することはできるものの、その評価に合致した選択や行動を起こすことができないという話など。本の最後に、関連する内容の文献を紹介する読書案内がついているのもありがたい。2023/02/17
あがにゃん
0
Ⅰの最後の章に情動の話が出てきたので先にⅢを読んだ。情動の抹消起源説や情動中枢、ダマシオのスマティックマーカー仮説、最終章にはカプグラ妄想やコタール妄想の話が出てきており、精神医学や心理学の基礎的な知識があればより理解が深まるような本でとても興味深かった。2021/01/18