内容説明
キリスト教批判から現代批判へ。情況との拮抗から生ずる人間の生のきしみを閉じられた観念空間へと収奪し“宗教”として固定化するあらゆる思想・イデオロギー・運動を撃つ!雑誌『指』に発表した主要評論に新しく「知識・知識人論」三篇を加える。
目次
第1章 逆説的発言(批判ということ;秩序への屈従 ほか)
第2章 思想・知識・知識人(知識人論への一視角―谷川雁をめぐる;民衆理念の観念的浮上 ほか)
第3章 季節によせて(2月―小指;6月―言葉 ほか)
第4章 宗教批判的発言(神の否定;不幸について―シモーヌ・ヴェーユによせて ほか)
著者等紹介
田川建三[タガワケンゾウ]
1935年東京に生まれる。専攻は新約聖書学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rubeluso
1
とあるところで「現代宗教思想のひとつの極致」と紹介されていたのと名前が気に入ったので。タイトルにもある「立ちつくす思想」とは、不条理や絶対的な不幸を前にした時に無限の憤りと悲しみを持って無言で抵抗することのようだ。筆者はキリスト者でありながら神と教会を捨てた立場のようだが、現実に対して宗教的な安寧に逃げるのではなく、絶望的な抵抗をし続けることこそが大事だということだろうか。かなりコンテクストを要求されるので読みづらい部分も多かったが納得させられる点も多かった2016/01/24
amanon
1
かなり示唆に富むと感じたのと同時に、何とも複雑な気持ちにさせられた一冊であった。まず六十年代末から七十年代初めという全共闘運動最盛期の間に書かれたという時代的な空気があまりに色濃く反映されているという点は否定し得ない。しかし、それをもう過ぎ去った物とこの書と共に片付けてしまえるかというと、やはりそれは違うのではないか?という気にさせられた。また、一方でキリスト教を捨てながら、イエスが何者であったかということにこだわる著者のスタンスに何とも言えない違和感を憶えたのも事実である。2010/10/24
zeroset
0
書かれたのが学生運動最盛期、著者自身も大学を追放されたまさにその時期の本で、強烈に時代を感じる文章に、読んでてどうしても目が上滑りしてしまう。残念。2010/03/28