出版社内容情報
現象学とユダヤ教教義学の双方に依拠しつつ、レヴィナスは独特の倫理学を築いた。本書はレヴィナスの倫理学が形をなした中期の著作「全体性と無限」(1961)と後期の「存在するとは別の仕方で、あるいは存在することの彼方へ」(1974)の二著を中心に読解を行なう。レヴィナスの鍵概念は「絶対的な他者性」である。通常の「私とあなた」といった関係を超えて迫る絶対的な他者性。それは何か、どんな意味があるのか。通常の倫理的な関係とどのように関わるのか。神学へと飛躍せず、あくまで哲学の地平にとどまりつつ、粘り強い思索が展開され
目次
Ⅰ 「顔」と形而上学―『全体性と無限』
第1章 「顔」―輪郭の描写
1 顔
2 無限の責任
第2章 「選び」
1 選び
2 歴史の裁きと神の裁き
3 証示不可能性(方法的考察)
第3章 「同」と「他」
1 同と他
2 享受
3 所有と労働
4 顔と他
5 絶対他の条件
6 「絶対他」のもう一つの定義
7 まとめ
第4章 デリダの批判―「暴力と形而上学」
第5章 「教え」―倫理と学
1 ことばと他者
2 教え
3 倫理と学問
4 学問は顔の倫理を前提するか
第6章 「他」の言表―デリダの批判再び
Ⅱ 方法の先鋭化―『存在の彼方へ』
第7章 「他」を語ることの困難―『存在の彼方へ』に向けて
第8章 絶対他把握の方法的問題
1 語ることと語られたこと
2 他を語る方法
第9章 「感受性」と「語ること」
1 感受性
2 言語と存在者
3 隔時性
4 他者の感覚可能性
5 強迫
6 神の選び
第10章 「顔」から「正義」へ
1 第三者から正義へ
2 顔からの正義の正当化
3 正義論の再構築
第11章 レヴィナスへの批判と顔の倫理学の可能性
1 第三の道の模索
2 受容
3 ケアの自己肯定性
4 正義とコア
5 結論
注
あとがき
文献一覧
人名索引/事項索引
内容説明
「無限責任」を事象に即して解く。レヴィナスの中心的な問題点に批判を加え、合せて積極的な主張を再構成する。
目次
1 「顔」と形而上学―『全体性と無限』(「顔」―輪郭の描写;「選び」;「同」と「他」;デリダの批判―「暴力と形而上学」;「教え」―倫理と学;「他」の言表―デリダの批判再び)
2 方法の先鋭化―『存在の彼方へ』(「他」を語ることの困難―『存在の彼方へ』に向けて;絶対他把握の方法的問題;「感受性」と「語ること」;「顔」から「正義」へ;レヴィナスへの批判と顔の倫理学の可能性)