出版社内容情報
アランに師事し,女工,スペイン戦争参加という特異な体験をもった彼女は,思想的苦悩の末,革命思想から独自のキリスト教思想へと展開する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みそさざえ
12
彼女の思想の背景には、すさまじいばかりの生きざまがある。なぜここまでできたのか、何がここまでさせたのかは、まだ不明。ただ非常に不器用で、柔軟な人ではなかったのだろうという気はする。引き続き関連図書を読んでいきたい。2019/11/05
MIZUHITO
5
焼き殺されそうな衝撃。人生は誰に共感したかが一番重要で、その人の一生を方向付けていくものだけれど、この「共感」という一点に於いて、シモーヌ・ヴェイユほど苛烈だった人を自分は知らない。それまで自分は、距離と時間を隔てると誰かに共感するのは当然難しくなるものだと思っていた。結局のところ、人は共感したいものに共感するだけだとも思っていた。シモーヌ・ヴェイユはこの隔たりを持たない。彼女は炎を素手で握りしめるように他人、特に他人の不幸に共感する稀有な存在だった。彼女を知った、だから以前の自分には戻れないと思う。
田蛙澄
1
以前先輩からもらっていて積読していたもの。たまたま彼に『重力と恩寵』が面白いと言ったのを覚えていて買ってくれたらしい。彼女の思想は明らかに生涯と連動してそうなので興味を覚えたのだが、割とスペイン戦線あたりの行って二日後に鍋に足を突っ込んで火傷をしてしまうなどというあたり、ドジっ娘っぽくて妙な微笑ましさがある。殺伐とはしているのだけど。あとは34歳かぐらいで死んでいることにも驚いた。不幸と絶対性に対する思想的な感性がずば抜けているなという感じがある。あまりに鋭すぎて割と戸惑う。2015/10/07
ユカ
1
「死の瞬間が生の規範であり、目標である」 それは、「正しく生きる者にとっては、純粋であらわで確実で永遠的な真理が魂の中にはいる瞬間」 ・・・そのエネルギーはどこから? 私は日々を何とか終わらせるだけでくたくたですが、これがつまりヴェイユの言う「奴隷状態」なのかもしれません。レベルは全然違いますが。私のは、ただの怠慢、甘え、ですが。 目標(死)にむかって、「正しく」生きる。 人生とは、の答えをもらった気がします。 2012/01/08