出版社内容情報
福祉(所得)と就労(労働)は本当に不可分なのだろうか。「万人のリアルな自由」という正義概念が、ベーシック・インカムを要求する。精緻に規範的論証を行う基本書。
80年代後半からヨーロッパで高まったベーシック・インカム(BI)論議に影響を与えた基本書。自己所有権に拘泥しすぎる者は真のリバタリアンでない。各人が「社会的財産」の一人当たりのシェア分を専有し、それを不断に最大化できる社会を求めてこそリバタリアンだ。政策論としてでなく、規範理論の視点からBIの発見的な正当化をめざす。
[関連書] トニー・フィッツパトリック 『自由と保障』(勁草書房刊)
目次
まえがき
序
第1章 資本主義,社会主義,そして自由
プロローグ
1. 1 資本主義vs.社会主義
1. 2 自由な社会としての純粋社会主義
1. 3 自由な社会としての純粋資本主義
1. 4 個人主権と集合的主権
1. 5 何への自由か? 義務,自律性,潜在的欲求
1. 6 何からの自由か? 二つの強制概念
1. 7 形式的自由と実質的自由
1. 8 リアル・リバタリアニズム
第2章 持続可能な最高水準のベーシック・インカム
プロローグ
2. 1 ひとつのラディカルな提案
2. 2 無条件性と実質的自由
2. 3 持続可能性
2. 4 現金か,現物か?
2. 5 初期賦与か,定期給付か?
2. 6 実質的自由の尺度は何か?
2. 7 競争的な価格設定,機会費用,無羨望
2. 8 体制間での実質的自由の比較
付録:ベーシックインカム vs. 負の所得税
第3章 非優越的多様性
プロローグ
3. 1 拡張されたオークション
3. 2 ピープ・ショーで働くこと,広場でデートすること
3. 3 無知のヴェール下での保険
3. 4 ドウォーキンに対する四つの異論
3. 5 アッカーマン提案の一般化
3. 6 不十分な再分配?
3. 7 諸他のオルタナティブな戦略
3. 8 過大な再分配?
付録1 ローマー対ドウォーキン
付録2 十分さ,ぜいたくさ,豊富さ,そして最低所得保証
付録3 非優越的多様性と無羨望
第4章 資産としてのジョブ
プロローグ
4. 1 クレージー/レイジー問題
4. 2 ロールズ対ドウォーキン
4. 3 われわれの遺産は増やせるか?
4. 4 非-ワルラス的世界における平等な賦与
4. 5 ワークシェアリング,買収,稀少性の消失
4. 6 ジョブ・オークションから所得税へ
4. 7 一貫性のない提案? 才能の不平等に伴う雇用レント
4. 8 滑り坂? 働く権利から結婚する権利へ
付録 クレージー,レイジー,修正されたロールズ格差原理
第5章 搾取と実質的自由
プロローグ
5. 1 他人の労働から利得を引き出すこと
5. 2 権力,贈与,フリーライド
5. 3 ロック的搾取
5. 4 創造者保持原理
5. 5 ルター的搾取
5. 6 努力に応じて各人に
5. 7 ローマー的搾取
5. 8 資産に基づく不平等
第6章 資本主義は正当化されるか?
プロローグ
6. 1 最適資本主義 vs. 最適社会主義
6. 2 資本主義的な選好形成
6. 3 市場の失敗と無用な活動
6. 4 危機
6. 5 失業予備軍
6. 6 創造的破壊
6. 7 人民主権
6. 8 ペンギンの島には近づかない
参考文献
訳者解説
訳者解説2
人名索引
事項索引
内容説明
福祉(所得)と就労(労働)は本当に不可分なものだろうか。80年代後半からヨーロッパで高まりをみせるベーシック・インカム(BI)の論議に影響を与えた基本図書。
目次
第1章 資本主義、社会主義、そして自由
第2章 持続可能な最高水準のベーシック・インカム
第3章 非優越的多様性
第4章 資産としてのジョブ
第5章 搾取と実質的自由
第6章 資本主義は正当化されるか?
著者等紹介
パリース,フィリップ・ヴァン[パリース,フィリップヴァン][Parijs,Philippe Van]
1951年ベルギー・ブリュッセル生まれ。現在、ルーヴァン・カトリック大学経済・社会・政治学部教授。ハーヴァード大学哲学科客員教授。BIEN国際委員会座長
後藤玲子[ゴトウレイコ]
1958年生まれ。1998年一橋大学大学院経済学研究科理論経済学専攻博士課程修了。博士(経済学)。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授
齊藤拓[サイトウタク]
1978年生まれ。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程在学中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。