出版社内容情報
善の構想の多元性というロールズら現代リベラリズムの前提は妥当か。差別構造の解体のためのフェミニストの法実践の可能性。人が自律的な主体となるプロセスを問う。
自由と平等という理念を掲げるリベラルな社会において、ある種の困難を背負わされるのはなぜ女性なのか。現代リベラリズムは、国家の中立性を重視し、資源や財の分配を論じる。しかしそれは、ジェンダーの問題を考える上で妥当なものだろうか。リベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズム、その理論と法実践を批判的に検討する。
[関連書] 野崎綾子 『正義・家族・法の構造変換』 (勁草書房刊)
序章 ジェンダーとは何か
1.セックス/ジェンダー二層論
2.セックスとジェンダーの逆転
3.ジェンダーの二元的構造とヘテロセクシズム
4.ジェンダーとフェミニスト法実践
第1部 フェミニストの法理論と法実践
第1章 フェミニズムにおける主体と法:
リベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズム
1.リベラル・フェミニズム
2.ラディカル・フェミニズム
第2章 構造的差別としてのセクシュアル・ハラスメント(フェミニストの法実践 1)
1.セクシュアル・ハラスメントとは何か
2.セクシュアル・ハラスメントをめぐる理論と法理
3.同性間のセクシュアル・ハラスメント
4.セクシュアル・ハラスメント法理の背後にあるヘテロセクシズム
第3章 ポルノグラフィ:言葉と差別 (フェミニストの法実践 2)
1.侮蔑発言とポルノグラフィの規制:
批判的人種理論とラディカル・フェミニズムの法理論
2.法実践
3.言葉への脅威:言葉と構造的差別
第2部 リベラルな法とフェミニストの法
第4章 リベラルな国家と法
1.善の構想の多元性と社会的協働
2.リベラルな国家と法の批判的検討
3.法による主体構築の力
第5章 フェミニスト法実践の方向性
1.フェミニズムの課題と法の役割
2.フェミニスト法実践の形
3.フェミニスト法実践が目指すもの
おわりに
文献
あとがき
索引
内容説明
ロールズに代表される現代リベラリズムの諸前提―善の構想の多元性、国家と法の中立性を批判し、フェミニストの法実践の基礎となりうる主体像を探究する。
目次
ジェンダーとは何か
第1部 フェミニストの法理論と法実践(フェミニズムにおける主体と法:リベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズム;構造的差別としてのセクシュアル・ハラスメント―フェミニストの法実践1;ポルノグラフィ:言葉と差別―フェミニストの法実践2)
第2部 リベラルな法とフェミニストの法(リベラルな国家と法;フェミニスト法実践の方向性)
著者等紹介
若林翼[ワカバヤシツバサ]
1972年兵庫県に生まれる。2005年大阪大学大学院法学研究科博士課程修了、法学博士。現在、ブレーメン大学ヨーロッパ法・政治センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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灘子