出版社内容情報
カントは自らの思索を首尾よく一貫して完遂しえたであろうか。カントが歩んだ「批判の茨の途」を再び歩む解釈者の苦闘の軌跡。
カントの哲学は出来上った完成品のように考えられているが、そうではない。本書は『純粋理性批判』の読解を中心に、カントの主要テーゼである「超越論的観念論」とそれを基礎づける『超越論的演繹論』が何であり、その議論は成功しているのかどうかを精査する。「目から鱗」の発見もあって、カントが一層身近かになる。
関連書:坂部 恵『理性の不安』(小社刊) 3300円
Ⅰ 超越論的観念論をめぐって
第一章 現実存在の意味的構成
──超越論的観念論の含意
第二章 存在に関するカントのテーゼ
──超越論的観念論との一致
第三章 もう一つの「観念論」論駁
──超越論的観念論の射程
第四章 デカルト「観念論」の論駁
──超越論的 観念論の存続
Ⅱ 超越論的演繹をめぐって
第五章 超越論的な総合について
──『批判』第二版演繹論の一面
第六章 <かたち>ある物の経験について
──超越論的哲学による解明の試み
第七章 妄執としての自我
──超越論的哲学の自我論の一面
第八章 客観の次元
──ヘンリッヒの演繹論解釈を手がかりに
第九章 自己意識の構造
──ヘンリッヒの演繹論的解釈を手がかりに
付録 原理としての自己意識
──ヘンリッヒの演繹論解釈の意義
後書き
索引
内容説明
カントは自らの思索を首尾よく一貫して完遂しえたであろうか。カント哲学の主要テーゼである「超越論的観念論」とそれを根拠づける「超越論的演繹」を精査する。
目次
1 超越論的観念論をめぐって(現実存在の意味的構成―超越論的観念論の含意;存在に関するカントのテーゼ―超越論的観念論との一致;もう一つの「観念論」論駁―超越論的観念論の射程;デカルト「観念論」の論駁―超越論的観念論の存続)
2 超越論的演繹をめぐって(超越論的な総合について―『批判』第二版演繹論の一面;“かたち”ある物の経験について―超越論的哲学による解明の試み;妄執としての自我―超越論的哲学の自我論の一面;客観の次元―ヘンリッヒの演繹論解釈を手がかりに;自己意識の構造―ヘンリッヒの演繹論解釈を手がかりに;原理としての自己意識―ヘンリッヒの演繹論解釈の意義)
著者等紹介
湯浅正彦[ユアサマサヒコ]
1956年千葉県に生まれる。1985年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、立正大学文学部助教授
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