内容説明
これまで思想家は、自らの生きる市場社会をどのように捉えてきたのか。彼らのヴィジョンとデザインはいかなるものであったのか。市場社会(資本主義社会)に関心を寄せるすべての人に贈る。
目次
第1部 市場社会の特性を探る(職分・正義・共通善―トマス・アクィナス;経済発展と不平等―ヒュームとスミス;市場・国家・アソシアシオン―ワルラス;知識・組織・潜在能力―マーシャル)
第2部 社会主義経済計算論争参加者の批判的思考(進化論的・社会的合理主義―ミーゼス;法人資本主義論―ハイエク;社会主義の合理的存立可能論―ランゲとドッブ;リベラル・インターナショナリズム批判―ポラニーとシュンペーター)
第3部 ニュー・リベラリズム的展開(古典的自由主義の修正と資本主義分析―グリーンとホブソン;市場社会の悪弊とその除去―ケインズおよび彼の同僚;福祉国家の唱道―ミュルダール;「自由主義」の変容―クラークとナイト;「連邦主義」にみる自由主義―ロビンズとベヴァリッジ)
市場社会論と経済理論の関係―試論
著者等紹介
平井俊顕[ヒライトシアキ]
1947年生。上智大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
0
全13章のうち、魅力的な経済学者のオンパレードである。中でも、2章のヒュームとスミス、4章マーシャル、8章ポラニーとシュンペーター、11章ミュルダールに注目できる。ヒュームは市民間の分配の不平等が大き過ぎると国家を弱体化させるという(29ページ)。マーシャルの社会哲学は、人間と社会の可変性を分析する(68ページ~)。ポラニーは市場を埋め込まれた社会という主客転倒でいいのかと問う(161ページ)。ミュルダールは平等な市場社会を志向した(248ページ)。彼らに共通するのは、市場社会の歪みをどう是正できるかだ。2012/11/21