内容説明
ケニア人の父と日本人の母のもとに生まれた少女・リイマ。五十メートル走で学年一番の記録を出した日、「黒人だから速いだけだ」と男子から言われ口論になる。「人種差別」「外国人」という周囲の言葉に自分は日本人だという確信がゆらいでいく。複雑な思いをかかえたまま、実父の故郷であるケニアへ行く機会が到来する。5・6年生から。
著者等紹介
山本悦子[ヤマモトエツコ]
愛知県出身。1996年『ぼくとカジババのめだまやき戦争』(ポプラ社)でデビュー。『神隠しの教室』(童心社)で第55回野間児童文芸賞受賞。『マスク越しのおはよう』(講談社)で第63回日本児童文学者協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
82
児童書。YA。黒人ハーフ▽小学5年生で身長160cmあるリイマは父親がケニア人。ダディーは離婚してケニアに帰り、母(マミー)はひとりでリイマと弟達レオとカイを育ててくれた。マミーがパティシエのシンちゃんと再婚し、シンちゃんの母親(おばあちゃん)と同居しはじめたリイマは色々と思い悩む。得意の陸上競技でベストタイムを出しても「黒人だからずるい」と言われ腹を立てる▽後半は祖母とリイマのケニア旅行。アフリカの大自然に触れ、リイマは自分のルーツについて考える。良本。シンちゃんがいい人で良かった。2023.11刊2024/04/29
けんとまん1007
51
何気なく使う言葉・態度・表情。子どもならでは・・ではなく、年齢に関係ないものがあると思う。自分自身の姿・ふるまいは、どう見えているのだろうかは、時々、考えたりもする。自分を辿ること。ふるさとはどんなだろう?そこにある風景・人・価値観。何故か、最後に中村桂子さんの生命誌が浮かんできた。2024/05/27
雪丸 風人
20
主人公はケニアハーフの5年生。肌が黒いことでそこかしこで特別視され、深く傷ついていた彼女が、新しい家族に恵まれ、ともに嬉しい時間を過ごしたことで、心にゆるぎない強さを育んでいきます。考えさせられる作品でしたね。差別について深掘りされ、解り合えない心情が丹念に描かれていて、胸が苦しくなる場面もありました。一方で、じんわりくる人の優しさに癒されたり、雄大な自然に崇高さを感じる場面もありました。多彩なテーマが綺麗に織り交ぜられているのが凄い!幅広い層に刺さりそうな一冊ですよ。(対象年齢は10歳半以上かな?)2023/12/19
マツユキ
17
主人公は小5のリイマは、ケニア人の父に似て、日本人には見えない。母が仲良しのしんちゃんと再婚し、祖母との同居が始まったが、打ち解けられずにいた。そんな中、学校で、リイマの足の速さをずるいと言われ…。これは人種差別なのか。いとこや、弟たちの事もあり、悩まされます。差別とは別に、人間関係のすれ違いもあり、どちらも無理解が原因なのかな。自分のことだって、理解するのは難しい。旅行の中でリイマが知った色んな事。解決にはなりませんが、良い方向に進んでいくようで、晴れやか。良い家族、良い友人に恵まれて、良かった。2024/01/25
奏
7
ケニア人の父と日本人の母のもと生まれたリイマは小学5年生。日本で生まれ育ったけれど、周りからは外国人として見られたり扱われたりすることで、自分は日本人なのかと心が揺らぐー。リイマや弟のカイ、レオの気持ちに胸が苦しくなる場面も多かったが、新しい父親のシンちゃんが母親と一緒に子どもたちをまるごと受け止め、守ろうとしてくれていたので安心して読むことができた。後半、リイマは祖母と一緒にケニアで自分のルーツにせまっていくが、広大な自然やそこに暮らす人々の現実など、とてもリアルに描かれている。タイトルも良いな! 2024/05/08