内容説明
漫画家たちが描く戦争、原爆。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
79
「漫画家たちの戦争」シリーズでまだ読んでいなかった一巻。原爆の苦しみ悲しみを伝える漫画が集められている。実際に原爆を体験した中沢啓治は、残虐な実態をストレートに伝える。手塚治虫は、ブラック・ジャックですら治せない原爆症の恐ろしさを伝え、赤塚不二夫も日常の中に忍び寄る原爆症の悲しみを伝える。原爆投下から何十年も経っても傷跡が癒えることはない。二度と原爆が使われるようなことはあってはならない。それなのに、今、核をちらつかせ、戦闘を進める人物がいる。何ということだ。2022/02/25
yomineko
73
ブラックジャックも掲載されており、手塚先生渾身の作品の1つ。ブラックジャックの神の手でも治せない原爆症。はだしのゲンの中沢啓二さんのお話、胸が締め付けられる。こんなに酷い目に遭いながら、舌の根の乾かぬ内に水爆実験など過ちをまた繰り返している人間は愚かで最低な生き物だと思った。2022/03/12
へくとぱすかる
63
図書館本。貝塚ひろし「黒バットの記録」の前半のみ、どこかで読んだ記憶がある。赤塚不二夫が原爆をテーマに「九平とねえちゃん」を描いていたのは驚きだが、元々少女マンガでデビューした人だったことを思えば、なるほどと思う。被爆の当事者としては、この集でおそらく唯一人、中沢啓治の「おれは見た」はのちの「はだしのゲン」につながる作品。重要な作品を読める集だ。2018/12/03
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
58
漫画家たちの戦争シリーズの1冊目。これには太平洋戦争で最大の犠牲を出した原爆の投下と、その後も原爆症で苦しむ人々の悲劇について書かれています。広島市の平和記念公園には「原爆の子の像」のモニュメントがあり、そのモデルで、原爆症のために12歳で亡くなった佐々木禎子についても触れています。2度と過ちを犯してはいけない、世界中から核兵器が無くなることを願うばかり。このシリーズは是非とも色んな方に手に取って欲しいです。2018/09/20
次期伊丹十三賞候補・寺
57
原爆漫画アンソロジー。孤高の天才ブラックジャックでさえ治せなかった原爆症。『はだしのゲン』の中沢啓治の漫画自伝。原爆当時と戦後の反戦キャンペーンに潜む犯罪を描く辰巳ヨシヒロの劇画。赤塚不二夫の少女漫画の原爆悲恋。父を原爆で失った谷川一彦の少女漫画。貝塚ひろし描く原爆症の少年とアメリカ兵パイロットの野球物語。全て広島で長崎ものが無いのは惜しいが、原爆に人生を左右された人間は無数にいるのだ。2013/10/19