内容説明
キャッシュレスは日本経済をどう変えるのか。多様化する支払手段の現状を分析し、キャッシュレス化に向けた政策的課題を明らかにするとともに、スウェーデン、ドイツ、韓国、シンガポールにおけるイノベーションの動向から、日本の進むべき方向を考察する。財務総研「デジタル時代のイノベーションに関する研究会」(座長:柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授)の成果を完全書籍化!
目次
総論 キャッシュレスの動きと今後のイノベーション
1 支払手段の多様化(デジタル経済の進展と支払手段の多様化;キャッシュレス化と決済サービスの変化;キャッシュレス化が進んだ場合の金融政策の論点;キャッシュレス化の政策的インプリケーション;キャッシュレスの普及に関する考察)
2 支払手段の多様化と各国の動き(スウェーデン及びドイツにおけるキャッシュレス化の現状と課題;スウェーデンの動向;ドイツの動向;韓国の動き)
3 デジタル化が進む中でのイノベーションの動き(シンガポールにおけるデジタル化の進展)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
87
キャッシュレスについては、どうも経産省のキャッシュレスに関する数字というものが信用できません。わたしなどは現金派なのですがそれでも毎日の生活を考えてみると50%以上になっています。つい先日もカード業界が発表したのは62%となっています。金融庁は50%前後ということを言っています。この本は財務省の研究所のメンバーが書いたものでわかりやすく地道な分析をしています。海外の状況も分析されています。ドイツが日本よりも低いというのが目立ちました。2020/02/17
えすてい
7
安易なポイント論ではなく、スウェーデン・ドイツ・アメリカ・シンガポール・韓国の事例や課題をも横断的に述べる。国や地域によって銀行口座の開設率やICカードの普及率や使い勝手は異なるためキャッシュレスには「地域性」があり、時には地政学リスクもキャッシュレスの要因になる。スウェーデンでのキャッシュレス弱者の課題やアメリカの現金義務付け法に関して述べてるのはいいがもう少し深く取り上げてほしい所。韓国は破産率の高さには触れられず。技術が凄まじい速さで現在進行形で先が読めないものだから、深く追求できないのもあるか。2020/01/28