内容説明
かつて収支均衡予算・非募債主義を誇った日本は、なぜ「何でもあり」の国債膨張の罠にはまったのか。時々の財政運営スタンス、その背景にある政治経済情勢、世相転変の歴史を、長年その渦中にいた著者が綴る財政金融クロニクル。
目次
第1部 戦争の影引きずる国債揺籃期(財政と金融の両側面;財政法4条は憲法9条の裏書保証? ほか)
第2部 ニクソンショックから国債大量発行時代へ(束の間の夢に終わった依存度5%;公債と一般公共補正追加の論点 ほか)
第3部 国債暗黒時代とその脱却(国債の償還・借換え;売却制限緩和の歴史 ほか)
第4部 「御用金」転じて金融自由化の尖兵へ(コロンブスの卵「金国分離」;「飛ぶように売れる」国債へ ほか)
第5部 バブル崩壊から今日まで(バブル崩壊後(前期)の国債
幻に終わった財政構造改革法 ほか)
著者等紹介
米澤潤一[ヨネザワジュンイチ]
昭和38年、東京大学法学部卒、大蔵省(現財務省)入省。主計局主計官、理財局国債課長、資金一課長、総務課長、同局次長、関税局長等を歴任。退官後日本銀行理事等を経て、平成16~24年(公財)金融情報システムセンター理事長。この間、政策研究大学院大学、同志社大学大学院等で客員教授・非常勤講師を経験(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たいけい
16
1947-2013の日本国債の歩みと内幕を略述。財政法4条は憲法9条の裏書保証。金がなくては戦争はできない。金があるから戦争をしたがるのかもしれない。抑制的に始められながら今の赤字国債依存に国家財政が偏っていく動きがよく解る。国債に携わる現場にいた著者でなくては語れない話が沢山ある。転換点でしか首相・蔵相の名が出てこないのは国債に焦点を絞っているからだろう。プライマリー・バランス黒字が僅か6年程度というのには驚いた。事実の叙述を先にしながらも膨張し続ける国債に対し憂える著者の心情が垣間見える。勉強になった2021/08/16
shusseuo
1
長年現場で国債に携わっていた方の証言録です。国債の話というのは知っているようでやっぱり知らないもので。報道などで見聞きしてるから知ってるよなどと言わず、こういう本で知識の補完をすべきだなーと(自分が知っていることなんて、ほんの一部でしかないことを思い知らされます)。専門紙に連載されていたものを加筆修正したものなので、一章一章が短く、通勤などの空いている時間に読めるのはとても良いです。ハードカバーではなく新書サイズで出してくれたらもっと手に取る人が増えただろうな。2013/12/08
yashiti76
0
4️⃣66年に亘る国債の歴史を、当時の政治経済情勢と合わせてまとめ上げた本書は、国債ディーラーにとってはバイブル的な存在かと思われる。2014/08/03