出版社内容情報
最初のプログラム可能な汎用電子計算機と知られるENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)は,1943年に構想され,1945年に完成,そして1955年には解体された。その後の開発者らによる特許紛争などにより,最初のプログラム可能な計算機かどうかといった論争だけが今日では記憶に留められがちであり,そのような観点から書かれた成書も数多くある。
しかし,ENIACは,現代的な計算機への道程にある単なる通過点ではない。著者らは,ENIAC を,戦時の機械,「最初の計算機」,その利用者が継続的に手直ししつづけた物質的人工物,そして矛盾を含んだ史話の対象ととらえ,残された記録資料原本を広範囲に調査することによって,ENIAC の構想から,設計,構築,利用,そして博物館に展示された遺品となるまでの詳細な物語をまとめ上げた。
また,ENIAC の物語は,ENIAC に携わった人々の物語である。ENIAC を構築し,プログラムし,操作した人々,とくに,そうしたことで有名になった女性たちだけでなく,ENAIC を提案,設計した数学者,科学者,技術者について記述することで,今まで光が当てられることの少なかったENIACの歴史の細部を明らかにしていく。
(原著:ENIAC in Action: Making and Remaking the Modern Computer, MIT Press, 2016.)
はじめに
第1章 ENIAC を思い描く
第2章 ENIAC の構造を決める
第3章 ENIAC に生命をもたらす
第4章 ENIAC を稼働させる
第5章 ENIAC,弾道研究所に到着する
第6章 EDVAC と第一草稿
第7章 ENIAC の変換
第8章 ENIAC,モンテカルロに向かう
第9章 ENIAC の運試し
第10章 ENIAC の稼働が落ち着くまで
第11章 ENIAC 世代の計算機,「プログラム内蔵方式」に対峙する
第12章 記憶に残るENIAC
結び
Thomas Haigh[]
Mark Priestley[マーク プリーストリー]
Crispin Rope[クリスピン ロープ]
土居 範久[ドイ ノリヒサ]
羽田 昭裕[ハダ アキヒロ]
川辺 治之[カワベ ハルユキ]
目次
ENIACを思い描く
ENIACの構造を決める
ENIACに生命をもたらす
ENIACを稼働させる
ENIAC、弾道研究所に到着する
EDVACと第一草稿
ENIACの変換
ENIAC、モンテカルロに向かう
ENIACの運試し
ENIACの稼働が落ち着くまで
ENIAC世代の計算機、「プログラム内蔵方式」に対峙する
記憶に残るENIAC
著者等紹介
土居範久[ドイノリヒサ]
1964年慶應義塾大学工学部管理工学科卒業。慶應義塾大学理工学部教授、中央大学理工学部教授などを経て、慶應義塾大学名誉教授。工学博士
羽田昭裕[ハダアキヒロ]
1984年一橋大学社会学部社会理論課程卒業。日本ユニシス株式会社先端技術部長などを経て、同社総合技術研究所長。国立情報学研究所客員教授
川辺治之[カワベハルユキ]
1985年東京大学理学部卒業。現在、日本ユニシス株式会社総合技術研究所上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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