出版社内容情報
各国のGDP(国民総生産)を国の位置関係を考慮して解析してみよう。GDPを予測したい変数(目的変数)としたとき、GDPは個々の開発投資額や失業率のような経済状況(説明変数)ばかりでなく、近隣諸国のGDPからも影響を受けていることが想定される。この直感を統計モデル(回帰モデル)に取り込めば、近隣からの影響を考慮しないモデルよりすぐれた解析結果が得られると期待される。
本書では、このような社会経済データに関する回帰分析について、観測領域の特性(説明変数)ばかりでなく、領域の位置関係も考慮することにより、より実態に即した解析となるような統計的手法(モデリング)を議論している。取り扱われる実例はGDP、民主化度、紛争件数、選挙行動、各国のネットワーク等の多岐にわたり、興味深い結論が導かれている。社会科学に関する空間データについて、空間的依存性をモデルに取り込むことの有効性を示している好書である。R(無料の統計パッケージ) のソースコードと解析例が著者のウェブページに掲載されているので、参考になろう。さらに最近の発展的な話題についても触れられていることも本書の魅力の一つである。
[原著: Spatial Regression Models Second Edition, Sage Publications, Inc., 2018]
内容説明
実践的な例をもとに、ひとつの手法を深く掘り下げて解説!社会科学における空間データの解析についての実践的なアプローチを解説。空間的な位置関係や依存性を考慮した回帰モデルの有効性を示す。GDP、民主化度、紛争件数、選挙行動など、多岐にわたる実例を紹介。
目次
第1章 社会科学における空間分析
第2章 情報を表示する地図
第3章 観測値の相互依存性
第4章 空間隣接性を考慮した目的変数
第5章 空間誤差モデル
第6章 発展的内容
著者等紹介
Ward,Michael D.[WARD,MICHAEL D.] [Ward,Michael D.]
デューク大学の政治学の名誉教授。リスク分析会社であるPredictive Heuristicsの創設者であり社長でもある。これまでにノースウェスタン大学、コロラド大学ボルダー校、ピエール・メンデス大学(フランス)、ワシントン大学で教鞭を執った経験がある。ノースウェスタン大学で博士号を、インディアナ大学で学士号(優等)を取得している
Gleditsch,Kristian Skrede[GLEDITSCH,KRISTIAN SKREDE] [Gleditsch,Kristian Skrede]
エセックス大学政治学部レギウス教授、オスロ平和研究所(PRIO)研究員。これまでにグラスゴー大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校で教鞭を執った経験がある。コロラド大学ボルダー校で政治学の博士号を、オスロ大学で社会科学の学士号を取得している
田中章司郎[タナカショウジロウ]
1987年広島大学大学院博士課程後期中途退学。現在、広島経済大学メディアビジネス学部教授。博士(学術)。専門、経済と環境のデータに基づくモデリング
西井龍映[ニシイリュウエイ]
1979年広島大学大学院理学研究科博士課程後期中退。現在、長崎大学情報データ科学部学部長。理学博士。専門、統計科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。