出版社内容情報
結び目の数学はトポロジー(位相幾何学)の中心的な学問であるが,今日では数学のみならず物理,化学,生物と関連する科学の基礎学問になっている。本書は,結び目の種々の数学的な理論の中から,常識化しておくのが望ましい基本的な事項を中心に,効率よく学べるような工夫を加えた,全般的な入門書である。ごく初歩的な図式からはじめ,結び目の不変量を習得し,最終的には結び目の分類と4次元的視点の理解を目指す。各章末には,「さらなる探求」の節を設け,探究項目の説明ばかりでなく,練習問題を設定している。
数学的素養が若干ある方には,本書を通して,結び目の数学の基礎について十分な理解が得られるだろう。また,理系に関心のある高校生,学生・大学院学生および他分野の研究者の方は,結び目の数学を題材としたトポロジーの知識が学べるのみならず,将来科学の基礎学問としての結び目に出会った際に必要とされる結び目の数学の基礎知識を本書で十分に獲得できるであろう。
第1章 結び目の表示
1.1 結び目の図式と同型の考え方
1.2 図式から得られる数量I:交点数,ひずみ度,複雑度,結び目解消数
1.3 図式から得られる数量II:交点符号和,絡み数,自然種数
1.4 第1章のさらなる探求
第2章 結び目の標準的な例
2.1 トーラス結び目
2.2 2橋結び目
2.3 プレッツェル結び目
2.4 第2章のさらなる探求
第3章 結び目の多項式不変量:スケイン多項式族
3.1 γ-多項式族の定義式
3.2 γ-多項式族が存在すること
3.3 スケイン多項式族の性質
3.4 第3章のさらなる探求
第4章 スケイン多項式の特殊化I:ジョーンズ多項式
4.1 ジョーンズ多項式の定義
4.2 カウフマンのブラケット多項式による定義
4.3 ジョーンズ多項式の計算
4.4 第4章のさらなる探求
第5章 スケイン多項式の特殊化II:コンウェイ多項式
5.1 コンウェイ多項式の定義式
5.2 コンウェイ多項式の計算
5.3 コンウェイ多項式からアレクサンダー多項式へ
5.4 第5章のさらなる探求
第6章 ザイフェルト行列とアレクサンダー不変量
6.1 ザイフェルト曲面とザイフェルト行列
6.2 アレクサンダー多項式の再構成
6.3 アーフ不変量と符号数
6.4 第6章のさらなる探求
第7章 結び目に付随した被覆空間
7.1 無限巡回被覆空間と巡回分岐被覆空間の構成
7.2 2重分岐被覆空間
7.3 ゲーリッツ不変量と結び目図式の彩色数
7.4 第7章のさらなる探求
第8章 結び目の4次元的視点
8.1 曲面結び目の描写
8.2 リボン曲面結び目とそのコードグラフ
8.3 コード図式の変形
8.4 第8章のさらなる探求
第9章 結び目の分類
9.1 ブレイド表示
9.2 ブレイド表示から整数格子点表示へ
9.3 整数格子点による結び目の分類法
9.4 第9章のさらなる探求
付録A 多面体の基本群とホモロジー(ダイジェスト版)
A.1 多面体
A.2 多面体の基本群
A.3 多面体のホモロジー
付録B 長さ9までの格子点による分類表
目次
第1章 結び目の表示
第2章 結び目の標準的な例
第3章 結び目の多項式不変量:スケイン多項式族
第4章 スケイン多項式の特殊化1:ジョーンズ多項式
第5章 スケイン多項式の特殊化2:コンウェイ多項式
第6章 ザイフェルト行列とアレクサンダー不変量
第7章 結び目に付随した被覆空間
第8章 結び目の4次元的視点
第9章 結び目の分類
付録(多面体の基本群とホモロジー(ダイジェスト版)
長さ9までの格子点による分類表)
著者等紹介
河内明夫[カワウチアキオ]
1977年大阪市立大学大学院理学研究科後期博士課程修了。現在、大阪市立大学大学院理学研究科特任教授。大阪市立大学名誉教授。大阪市立大学数学研究所名誉所長。理学博士。専門は位相幾何学(特に3、4次元多様体と結び目理論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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