出版社内容情報
本書は,兄弟本【基礎編】の入門的内容からさらに深く,生命現象に対する数理モデルの数理的意味や,その数学的解析,関連する理論へ踏み込むための基礎を提供することを主旨として執筆されています。内容は,学部の卒業研究や大学院初年度でのゼミナールに活用されるテキストを想定し,兄弟本【基礎編】と同様に,数理生物学に現れる典型的な基本数理モデルを題材として,生物学の概念に係る数理モデル解析において用いられる基本的な数学的概念や手法の解説を提供しています。兄弟本【基礎編】が提供した基礎知識をベースに本書【展開編】の内容が展開されます。読者としては,数学・数理科学系のみならず,生命科学系の学生や研究者も想定していますが,この【展開編】の主要部には,大学理系学部初年次に学ぶ微分積分学,線形代数学等の基礎数学の内容に通例含まれる基本知識を必要とする内容が少なからず含まれます。もっとも,それらは,読者が大学教科書などから必要な情報を容易に入手できる範囲の知識です。むしろ,本書に現れる数学的内容の詳細やその先に関心のある読者にはもの足りないかもしれませんが,そのような読者が適宜示されている参考文献などからその関心に応じたさらなる奥に進むことも決して難しくないはずです。本書も【基礎編】同様に,読者が基本的な数学的概念を把握し,数理モデルの解析手法を十分に理解するための手助けとなるように,内容に関連する演習問題を編み込み,その詳しい(ときに発展的内容も含む)解説を巻末につけました。
目次
第1章 出生・死亡過程の数理モデル
第2章 捕食過程の数理モデル
第3章 構造をもつ個体群の数理モデル
第4章 構造を伴う感染症伝染ダイナミクスモデル
第5章 個体群ダイナミクスの格子モデル
付録
著者等紹介
齋藤保久[サイトウヤスヒサ]
2002年大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程電気・情報系専攻数理工学分野修了。現在、島根大学大学院総合理工学研究科数理科学領域・准教授、博士(工学)。専門分野は数学(関数方程式論)、数理生物学
佐藤一憲[サトウカズノリ]
1993年九州大学大学院理学研究科博士後期課程修了。現在、静岡大学大学院総合科学技術研究科・准教授、博士(理学)。専門分野は数理生態学
瀬野裕美[セノヒロミ]
1989年京都大学大学院理学研究科博士後期課程(生物物理学)研究指導認定同日退学。現在、東北大学大学院情報科学研究科・教授、理学博士(京都大学)。専門分野は数理生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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