出版社内容情報
●内容
近年のゲノム研究により,「昆虫はどのように進化してきたのか?」「翅の形や模様の多様性はどのようにして生まれるのか?」「どういうしくみで音を聴き,匂いを嗅ぐのか?」「ハエが不潔な環境でも生きていけるのはなぜか?」「害虫類はどのようにして殺虫剤への抵抗性を発達させるのか?」などの興味深い問題の答えが次々と明らかになってきている。また,ゲノム情報や遺伝子組換え技術を使い,今まで考えもつかなかったようなユニークな方法で昆虫を利用する可能性も開けてきた。その意味で,昆虫研究は今,最も刺激に富んだ時代にあるといえる。
本書で取り上げる分野は,遺伝,発生,生理といった基礎分野から,有用昆虫の利用や害虫の防除といった応用分野まで,昆虫に関する主要な研究領域を網羅している。本書を教科書や参考書として読むことにより,ポストゲノム時代の昆虫研究の全体像を俯瞰できるとともに,個々の研究成果の要点を把握できるようにした。
本書を手にとることが,若い大学生,大学院生諸氏が昆虫研究を始めるきっかけになれば,これに勝る喜びはない。(「序」より抜粋)
●目次
序
執筆者一覧
第1章 遺伝
1.1 遺伝,育種,遺伝資源
1.2 染色体とDNA 安定化機構
1.3 ゲノム解析
1.4 網羅的な遺伝子発現解析
1.5 突然変異遺伝子の単離
1.6 遺伝子組換え技術
第2章 発生
2.1 配偶子形成
2.2 受精
2.3 性決定
2.4 胚発生
2.5 non-coding RNA による分子制御
第3章 生理
3.1 脱皮ホルモンと幼若ホルモン
3.2 神経ペプチド
3.3 休眠
3.4 栄養と代謝
3.5 循環系
第4章 脳,神経系
4.1 嗅覚系
4.2 視覚系
4.3 聴覚系
4.4 フェロモン受容
4.5 ミツバチの社会性行動をつかさどる脳の分子的基盤
第5章 昆虫微生物相互作用
5.1 病理
5.2 内部共生微生物
5.3 生体防御
第6章 環境適応
6.1 生物時計
6.2 光周性
6.3 耐寒性
6.4 殺虫剤抵抗性
第7章 応用
7.1 殺虫剤開発と選択毒性
7.2 ゲノム情報を利用した殺虫剤開発
7.3 分子マーカー
7.4 遺伝子組換え技術の害虫防除への利用
7.5 遺伝子組換え昆虫による有用物質生産
索引
内容説明
遺伝、発生、生理といった基礎分野から昆虫の最新の防除と利用法といった応用分野まで、昆虫に関する主要な研究領域を網羅し、昆虫類の分子生物学研究の成果について、特に最近のゲノム研究の成果を受けて明らかになった知見を中心に解説する。
目次
第1章 遺伝
第2章 発生
第3章 生理
第4章 脳、神経系
第5章 昆虫微生物相互作用
第6章 環境適応
第7章 応用