内容説明
茶道の精神とされている「侘び寂び」は日本的美の様式としてのみ考えられ、本来持っている哲学的思想や千利休などの先祖がそれにこめた実践的倫理思想を忘却してしまっている。本書は「侘び寂び」から日本人の哲学を採掘し、「古来哲学してこなかった」といわれている日本人の深い土着的哲学思想をそのなかに見出している。
目次
第1章 「侘び寂び」は単なる美に非ず 日本人の実践倫理である
第2章 「侘び寂び」の源流 現世主義精神
第3章 現世主義の心情としての無常観
第4章 現世主義とようなき者
第5章 現世主義がもらたす心情 存在論的「かなしみ」
第6章 みずから(主体)とおのずから(自然)―「おのずから」に存在本質を求めた日本人の哲学
第7章 「侘び寂び」思想の表現としての茶の湯
第8章 利休後 茶の湯教教祖の死と後継者
著者等紹介
平井嵩[ヒライタカシ]
1937年生。香川県丸亀市出身。丸亀高等学校卒。早稲田大学文学部仏文卒。若年時小説家を志し同人誌「分身」を主宰し、文芸雑誌「早稲田文学」、「三田文学」などにも発表した。その後サラリーマンを終えた後、哲学、思想史、とくに日本人論に興味を持ち研究、季刊新聞「鎌倉評論」を発行。地方政治評論を書く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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