出版社内容情報
●内容
世の中には,さまざまな計算機(電卓からスーパーコンピュータまで)があると同様に,動物界にもさまざまな生体コンピュータが存在する。動物の神経系は多様性に満ちている。本書では,このようなさまざまな神経系をもつ動物について,その神経系と行動について解説する。
神経系研究は,神経系のさまざまな側面を明らかにする。その形態,機能,回路網形成などの研究を含み,また,研究対象の生物階層は,遺伝子・分子のレベルから,細胞,神経系,個体,社会のレベルまでさまざまである。
まず,個々の神経系でこれらのことが明らかにならなければならない。登場する動物は多種多様である。このような神経系のさまざまな側面について,それぞれの動物について解説する。そこに膨大で多様性な神経系と行動の関係がみられることを実感いただけるであろう。
さらに,このような比較神経生物学による神経系の系統進化的理解は,神経系の起源と進化についても多くの視点を与えてくれることと思われる。地球上に神経系が現れて,今の多様な神経系に変貌していった壮大な神経系の歴史についてである。
この『さまざまな神経系をもつ動物たち:神経系の比較生物学』と題した本書で,読者の方々が,われわれの思いを少しでも堪能していただければ幸いである。
(序文より抜粋)
●目次
序章 神経系の多様性・・・小泉 修
第1章 単細胞生物の行動制御・・・洲崎敏伸
第2章 ヒドラの散在神経系とその行動能力・・・小泉 修
第3章 プラナリアの神経系と行動能力・・・織井秀文
第4章 線虫の神経系と行動・・・松浦哲也
第5章 アメフラシ類の神経系と行動能力・・・黒川 信
第6章 頭足類巨大脳とその行動を制御する脳ホルモン・・・南方宏之
第7章 心臓を拍動させるシンプルな神経節・・・山岸 宏
第8章 クモの視覚・・・山下茂樹
第9章 棘皮動物の変わった神経系と運動系・・・本川達雄
第10章 ホヤの神経系と行動・・・日下部岳広
第11章 魚の味覚を介する摂餌行動・・・清原貞夫・桐野正人
第12章 動物はどうやって衝突をさけるのか?・・・中川秀樹
目次
序章―神経系の多様性
単細胞生物の行動制御
ヒドラの散在神経系とその驚異の行動能力
プラナリアの神経系と行動能力
線虫の神経系と行動
アメフラシ類の神経系と行動能力
頭足類巨大脳とその行動を制御する脳ホルモン
心臓を拍動させるシンプルな神経節
クモの視覚
棘皮動物の変わった神経系と運動系
ホヤの神経系と行動
魚の味覚と摂餌行動
動物はどうやって衝突をさけるのか?
著者等紹介
小泉修[コイズミオサム]
1975年九州大学大学院理学研究科生物学専攻博士課程修了(理学博士)。現在、福岡女子大学人間環境学部教授、日本比較生理生化学会会長。専門:神経生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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