内容説明
古代人は、風と同系の「鳳」に、皇や王と同系の「凰」を組み合わせることで、「鳳凰」という風神の鳥=鳥の王者のイメージをつくりあげた。漢字という緻密な文字体系を支えている、鋭い観察力と言語感覚。身近な一字一字の成り立ちのなかにこそ、伝説や神話、農耕や牧畜に根ざした中国的世界観がみえてくる。漢和字典編纂の大家が中国文明史を概括することをめざし、生活や社会、政治、思想をもアジア的な視座でみつめた古典的名著。
目次
1 伝説と歴史(歴史に先立つ太古の中国;太古の黄河流域 ほか)
2 文字と民族(漢字の生いたち;竜神の守り―越の国 ほか)
3 風土と生活(数の起源;農耕の歩み ほか)
4 社会と思想(陰と陽―周易の論理;老子の嘆き ほか)
著者等紹介
藤堂明保[トウドウアキヤス]
1915年、三重県生まれ。中国語学者、中国文学者。東京帝国大学卒業後、外務省の研究員として中国に留学。戦後は第一高等学校教授を経て、64年に東京大学教授に就任。70年、東大闘争で大学による学生の処分に抗議して退職し、早稲田大学客員教授、日中学院院長などを務めた。85年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
58
漢字を手がかりに、歴史以前から現代に至る中国史を概観。特に上古史を汎アジア的視線で捉えようとしている点が新鮮。夏王朝の実在・非実在についての著者の考えは、なかなか微妙。今の日本の学者の考えは、通説の単純な肯定や否定からも、かなり自由になっていておもしろいが、原著の1982年当時としては進んだ記述かもしれない。音韻論の専門家として、推定された上古音から単語家族とでも言うべき概念で論を進めているところが特徴。現代史については、著者がもし今も存命だったなら、もっと違った論が書かれていたかもしれない。2020/04/12
禿頭王
0
著者の「字音が似通っていれば、その漢字には何らかの共通性がある」という持論を知っていないと、読み進めるのは難しいかもしれません。漢字を起点に中国の文明を考える視点も、当時は画期的だったのでしょうが、今はもっと読みやすく分かりやすい本がたくさんあります。全体を通じて、古さが否めない本でした。2025/03/09
黒
0
いまいち。押し付けがましさを感じる。2024/09/22
miura
0
漢字の成り立ちから、思った以上に文化を垣間見ることができるものなんですね。2022/01/04