シリーズ・ニューバイオフィジックス
生物物理学とはなにか―未解決問題への挑戦

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  • サイズ A5判/ページ数 288p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784320055490
  • NDC分類 464.9
  • Cコード C3345

出版社内容情報

●内容
 生物物理学は,生命のあらゆる現象に興味をもつたいへん欲張りな学問である。生命科学における20世紀最大の成果は,遺伝子DNAの発見である。この発見によって,生命の起源,進化,細胞・個体のきのう,疾病の機構など,生命の基本的機能・機構の背後に遺伝子とタンパク質という明瞭な物質の働きがあることが明らかになり,今日の分子生物学の隆盛がある。しかし,すべての遺伝子とコードされるタンパク質の正体がわかればすべての問題は解決するのであろうか? 残念ながらそう簡単ではない。
 本巻の主旨は,生物物理学の現在の達成点を位置づけ,先のゴールに近づくために近未来に何をなすべきかを一線の研究者にできるだけ素直に吐露してもらおうということである。
 第1章は,研究者の本音を俯瞰することによって,「生物物理学とはなにか」という疑問に答えようという試みである。 優れた研究は普遍性や再現性をもつとともに,その研究者しかなしえない個人性,独創性,芸術性を内包している。基礎科学が個人の営為に基づくことは言うまでもないが,一方で研究の学際化と巨大化によって,費用のかかるプロジェクト型研究チームに比重が傾きつつあるのも事実である。第2章では,これらの問題を分析する中で総体としての生物物理学の将来を考察する。
 第3章では,研究者に,この学問分野と個人としてのかかわりを自由に書いていただくことによって,その秘密の香りを読者に嗅いでもらおうという主旨である。

●目次
第1章 生物物理がめざすもの
1-1 生物物理は何をめざすか―生物機械論と生物らしさ
1-2 基本高分子:タンパク質
1-3 基本高分子:核酸・ゲノム・遺伝子
1-4 細胞機能:受容体―明順応した時の感度と雑音の問題
1-5 細胞膜シグナリングシステムの動作機構:1分子生物物理学によるアプローチ
1-6 エネルギー変換:1分子ナノテクノロジーと分子モーター
1-7 エネルギー変換:ATP合成酵素
1-8 高次機能:脳の物質系のメタ学習モデル
1-9 高次機能:発生を制御する原理とは
1-10 理論生物学:バイオインフォマティクス
1-11 理論生物学:理論生物物理学
第2章 生物物理学を支えるもの
2-1 日本の生物物理学の歴史と展望
2-2 世界の生物物理学
2-3 生物物理学の研究体制
2-4 生物物理学の研究と教育―進化学論と実践的学問のすすめ
2-5 生物物理学への期待―新しい機能生物学を目指して
第3章 生物物理学と私
3-1 生物物理とはなにか?―個人の研究史(べん毛モーターに生きる)
3-2 生物物理とわたし―生物物理の極意は面白さ
3-3 生物物理学の「追っかけ」の一人として―生物物理は異星人の集まり
3-4 私の生物物理学―生物物理はHowの世界
3-5 ゆらぐ生物世界―進化の仕組みを内蔵か
3-6 私のとっての生物物理
3-7 タンパク質に訊いてみる
3-8 生物物理学―受け継ぐ革命のスピリット
3-9 ヘモグロビンの研究に生物物理の限界を見る
3-10 生物物理学と私―物理から生物学へそしてまた物理学へ
3-11 試験管の世界と細胞の世界―細胞のスケールで考える

内容説明

生命科学における20世紀最大の成果は、遺伝子DNAの発見である。この発見によって、生命の起源、進化、細胞・個体の機能、疾病の機構など、生命の基本的機能・機構の背後に遺伝子とタンパク質という明瞭な物質の働きがあることが明らかになり、今日の分子生物学の隆盛がある。では、すべての遺伝子とコードされるタンパク質の正体がわかればすべての問題は解決するのであろうか?残念ながらそう簡単ではない。必要な分子や細胞をどのような環境に、どの程度、どのタイミングで、どのように配置すればよいのかが謎なのである。本巻の主旨は、生物物理学の現在の達成点を位置づけ、先のゴールに近づくために近未来に何をなすべきかを一線の研究者にできるだけ素直に吐露してもらおうということである。

目次

第1章 生物物理がめざすもの(生物物理学は何をめざすか―生物機械論と生物らしさ;基本高分子:タンパク質;基本高分子:核酸・ゲノム・遺伝子 ほか)
第2章 生物物理学を支えるもの(日本の生物物理学の歴史と展望;世界の生物物理学;生物物理学の研究体制 ほか)
第3章 生物物理学と私(生物物理とはなにか?―個人の研究史(べん毛モーターに生きる)
生物物理とわたし―生物物理の極意は面白さ
生物物理学の「追っかけ」の一人として―生物物理は異星人の集まり ほか)

著者等紹介

曽我部正博[ソカベマサヒロ]
1973年大阪大学基礎工学部生物工学科卒業、大阪大学人間科学部助手、名古屋大学医学部助教授を経て、1992年同学部教授。現在、名古屋大学大学院医学系研究科細胞生物物理学分野教授、岡崎国立共同研究機構生理学研究所細胞内代謝部門教授・工学博士。専攻は生理学、生物物理学

郷信広[ゴウノブヒロ]
1964年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程中退、同助手、九州大学理学部物理学科助教授、京都大学理学部化学科教授を経て2002年より現職。現在、日本原子力研究所計算科学技術推進センター特別研究員、奈良先端科学技術大学院大学バイオインフォマティックス人材養成ユニット教授・理学博士。専攻は生物物理学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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