出版社内容情報
テレビ,パソコン,スマートフォンなど,液晶ディスプレイは我々の生活には欠かせない。本書はこれらをわかりやすく解説することを第一の目的とし,液晶を知らない学部学生や一般の読者から,液晶を研究している大学院生,あるいは液晶デバイスの開発をしている企業人にまで役に立つ新しい液晶の本の執筆を試みた。
本書の特徴として,以下の点があげられる。まず,一般人向けに液晶発見の歴史や,液晶ディスプレイの開発小史にかなりのページを割いた。また,液晶ディスプレイに関しては表示の基本原理に留まらず,表示品位を高める技術,液晶デバイスを構成する材料・部材,液晶デバイスの製造技術といった幅広い領域を含めた。これにより企業で液晶デバイスに携わっている技術者にも配慮した。さらに,液晶デバイスの最新の情報をできる限り盛り込むことで技術の最前線を示すことに努めた。これには液晶ディスプレイばかりではなく,液晶の新しい応用展開,液晶以外のディスプレイとの比較なども取り入れた。液晶の応用の記述ばかりではなく,液晶の新しい科学に関しても平易な解説を試みた。
これらのうちいくつかは液晶の基礎科学にとどまらず,将来の新しい応用のシーズになるであろう。液体と結晶の性質を併せ持つ,液晶ならではの興味深い科学や応用があることを理解していただければ,著者らにとって望外の幸せである。
第1章 液晶とは
1.1 液晶とは
1.2 液晶発見小史
1.3 液晶ディスプレイ小史
演習問題
参考文献
第2章 分子の形と液晶の種類
2.1 相転移の仕方による分類
2.2 分子の形と相
2.2.1 棒状分子の作る液晶相
2.2.2 円板状分子の作る液晶相
2.3 高分子液晶
2.4 キラリティと液晶
2.5 3次元秩序を持つ液晶相
2.6 生体と液晶
演習問題
参考文献
第3章 液晶の基本物性
3.1 配向の長距離秩序
3.2 弾性と粘性
3.3 物理量の異方性
3.3.1 磁気的・電気的異方性
3.3.2 光学異方性
3.3.3 その他の異方性
3.4 外場による配向変化―フレデリックス転移―
3.5 フレクソエレクトリック効果
3.6 液晶の強誘電性
3.7 相転移の理論的取扱い
演習問題
参考文献
第4章液晶と界面
4.1 界面における液晶
4.1.1 一軸水平配向の原因
4.1.2 界面張力と界面自由エネルギー
4.1.3 アンカリングエネルギー
4.2 液晶における欠陥構造
4.2.1 転位と転傾
4.2.2 ネマティック液晶における欠陥構造
4.2.3 周期構造を持った液晶における欠陥構造
4.2.4 曲界面による欠陥構造
参考文献
第5章 液晶ディスプレイ
5.1 液晶ディスプレイの原理
5.1.1 液晶ディスプレイの基本
5.1.2 複屈折
5.1.3 縦電界モードと横電界モード
5.1.4 アクティブマトリクス駆動
5.2 液晶ディスプレイに必要な材料
5.2.1 液晶
5.2.2 配向膜
5.2.3 偏光板と光学補償フィルム
5.2.4 カラーフィルター
5.2.5 TFT基板
5.3 配向技術と表示モード
5.3.1 視野角拡大の技術
5.3.2 UV2Aモード
5.3.3 PSAモード
5.3.4 IPSモードとFFSモード
5.3.5 TNモード
5.4 液晶ディスプレイの作製プロセス
5.4.1 各基板の作製
5.4.2 配向膜の形成
5.4.3 液晶封入と基板貼り合わせ
5.5 液晶ディスプレイの現状
5.5.1 テレビ用液晶ディスプレイ
5.5.2 モバイル機器用液晶ディスプレイ
5.6 先端ディスプレイ
5.6.1 3Dディスプレイ
5.6.2 カーブドディスプレイ
5.6.3 透明ディスプレイ
演習問題
参考文献
第6章 液晶の未来
6.1 これからの液晶ディスプレイ
6.2 ディスプレイ以外への応用
6.2.1 液晶アンテナ
6.2.2 センサー
6.2.3 調光窓
6.3 液晶の新しい科学
6.3.1 液晶の物理
6.3.2 生体関連の液晶科学
6.3.3 液晶の化学
演習問題
参考文献
演習問題解答
索引
日本化学会[ニホンカガッカイ]
竹添 秀男[タケゾエ ヒデオ]
宮地 弘一[ミヤチ コウイチ]
目次
第1章 液晶とは
第2章 分子の形と液晶の種類
第3章 液晶の基本物性
第4章 液晶と界面
第5章 液晶ディスプレイ
第6章 液晶の未来
著者等紹介
竹添秀男[タケゾエヒデオ]
1975年東京教育大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。現在、豊田理化学研究所客員フェロー、東京工業大学名誉教授(理学博士)。専門、有機材料(特に液晶)の物性
宮地弘一[ミヤチコウイチ]
1996年東京工業大学大学院理工学研究科有機材料工学専攻博士課程修了。現在、JSR株式会社ディスプレイ材料研究所(工学博士)。専門、液晶ディスプレイのデバイスおよび材料技術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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