量子散乱理論への招待―フェムトの世界を見る物理

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量子散乱理論への招待―フェムトの世界を見る物理

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  • サイズ A5判/ページ数 304p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784320036000
  • NDC分類 421.3
  • Cコード C3042

出版社内容情報

 加速した粒子を用いた散乱実験は,肉眼では決して捉えることができない世界を“見る”基本的な手段である。実験で測定される散乱断面積は,極微の世界の映像ともいえる。本書は,この映像を読み解くために必要な量子力学的散乱理論の基礎を,初学者向けに解説したものである。必要な知識はごく初歩的な量子力学のみである。
 本書では,標準的な教科書が出発点とする散乱の形式論をあえて避け,扱う式の意味を読者が見失うことのないよう配慮した。これと連動して,散乱問題を記述するシュレディンガー方程式の正解を導くことは思い切って後ろに回し,できるだけ単純な模型から話を始めることとした。単純な模型を用いるほど,測定結果の解釈は直観的なものとなる。それは,得体の知れない量子の世界を紐解く際の堅固な足場となるだろう。その足場を利用しながら,模型の精度を徐々に高めることによって,ミクロの世界を見ることの意味を掘り下げていくのが本書の狙いである。模型は実際に測定されたデータの分析に適用され,それぞれの模型の精度に見合った物理が引き出される。量子散乱理論が,理論のための理論ではなく,現実を正しく描ける理論であることをぜひ読みとってほしい。なお,本書が分析の対象とするのは主に原子核の反応(フェムトスケールの反応現象)であるが,散乱問題の取り扱い方や観測量の読み解き方などは,より広い対象,たとえば原子・分子の衝突現象や物性分野の中性子散乱などにも適用できるはずである。
 本書が,より発展的で完全な散乱理論の専門書と読者をつなぐ架け橋となれば,これに勝る喜びはない。

第1章 断面積とは何か?
1.1 物の大きさを測る
1.2 ミクロの粒子を見る
1.3 断面積と反応頻度
1.4 剛体球の反射断面積
1.5 微分断面積
1.6 まとめ

第2章 ラザフォードによる原子核の発見
2.1 ラザフォードの実験
2.2 分析の準備(単位系)
2.3 クーロン散乱(ラザフォード散乱)
2.4 原子核の“発見”
2.5 ラザフォードの公式
2.6 角分布を用いた分析
2.7 まとめ

第3章 弾性散乱の量子力学的記述
3.1 量子力学的に捉えたラザフォード散乱
3.2 平面波の規格化
3.3 散乱波の展開と確率の規格化
3.4 展開係数の計算
3.5 1次の摂動解
3.6 観測される状態の幅と状態密度
3.7 フェルミの黄金律
3.8 状態数の計上
3.9 遷移確率と断面積
3.10 ラザフォード散乱の角分布
3.11 遷移行列
3.12 まとめ

第4章 平面波近似に基づく反応解析と原子核の密度分布
4.1 散乱粒子がもつ分解能
4.2 核力ポテンシャル
4.3 密度分布と平均2乗根半径
4.4 半値半径と平均2乗根半径
4.5 実験データの解析
4.6 密度の飽和性
4.7 原子核の密度分布
4.8 核子-原子核間ポテンシャル
4.9 黒体モデルと平面波近似の限界
4.10 まとめ

第5章 アイコナール近似に基づく反応解析
5.1 散乱波のアイコナール近似計算
5.2 アイコナール近似の成立条件
5.3 ポテンシャルが散乱波に及ぼす影響
5.4 アイコナール近似と直線近似
5.5 微分断面積の計算
5.6 まとめ

第6章 反応断面積で探る不安定核の性質
6.1 不安定原子核
6.2 反応断面積
6.3 全弾性散乱断面積と全断面積
6.4 影散乱
6.5 反応断面積の分析(準備)
6.6 運動学の補正
6.7 陽子-安定核の反応断面積解析
6.8 陽子-不安定核の反応断面積解析
6.9 飽和性の破れ
6.10 原子核のハロー構造
6.11 まとめ

第7章 チャネル結合法と光学ポテンシャルの起源
7.1 反応チャネル
7.2 チャネル結合方程式
7.3 アイコナールチャネル結合方程式とその形式解
7.4 反復法
7.5 微分断面積
7.6 流束の保存とS行列のユニタリティ
7.7 動的偏極ポテンシャル
7.8 光学ポテンシャルの正体
7.9 歪曲波ボルン近似
7.10 まとめ

第8章 散乱問題の純量子力学的解法
8.1 シュレディンガー方程式の球座標表示
8.2 動径方向の方程式と解の挙動
8.3 入射平面波の分解
8.4 部分波の選択則
8.5 部分波に対する実数ポテンシャルの影響
8.6 動径波動関数の決定
8.7 散乱波の境界条件を用いた断面積の計算
8.8 反応断面積と光学定理
8.9 遷移行列を用いた微分断面積の計算
8.10 遷移行列と散乱振幅の関係
8.11 まとめ

第9章 クーロン場中でのアイコナール近似
9.1 純量子力学的計算におけるクーロン相互作用の取り扱い
9.2 アイコナール波動関数に対するクーロン補正
9.3 まとめ

第10章 連続状態離散化チャネル結合法を用いた宇宙元素合成研究
10.1 天体核反応と天体物理学的因子
10.2 S17問題
10.3 研究の目的
10.4 CDCCによる8B分解反応の記述
10.5 反応計算に取り入れられている自由度
10.6 漸近係数法(ANC法)
10.7 分解反応の解析結果
10.8 まとめ

付録A 0度散乱の問題
付録B 波束の理論
付録C 摂動の高次を取り入れた遷移行列
付録D 非弾性散乱の遷移行列
付録E 特殊関数の公式
付録F 2階常微分方程式の数値解法

参考文献

緒方 一介[オガタ カズユキ]

目次

第1章 断面積とは何か?
第2章 ラザフォードによる原子核の発見
第3章 弾性散乱の量子力学的記述
第4章 平面波近似に基づく反応解析と原子核の密度分布
第5章 アイコナール近似に基づく反応解析
第6章 全反応断面積で探る不安定核の性質
第7章 チャネル結合法と光学ポテンシャルの起源
第8章 散乱問題の純量子力学的解法
第9章 クーロン相互作用の取り扱い
第10章 連続状態離散化チャネル結合法を用いた宇宙元素合成研究
付録

著者等紹介

緒方一介[オガタカズユキ]
2001年3月九州大学大学院理学研究科(基礎粒子系科学専攻)博士後期課程修了。4月大阪大学核物理研究センターCOE特別講師。2002年1月九州大学大学院理学研究院助手(2006年9月から、理研仁科加速器研究センター客員研究員兼務)。2007年4月九州大学大学院理学研究院助教(2008年4月‐2013年3月日本原子力研究開発機構研究嘱託兼務)。2011年4月大阪大学核物理研究センター准教授(2016年4月から、大阪市立大学大学院理学研究科客員教授兼務)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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0
理論物理がっつりやってなくてもかなり読めたし読みやすい2018/10/10

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