出版社内容情報
K中間子原子核の研究は、理論と実験が互いの成果に刺激を受けて飛躍的に進展している。本書では、K中間子原子核の実験的探索の流れと、これと合わせた理論研究の進展について、基礎から解説する。本書の前半では、原子核とK中間子それぞれの基本的な性質を紹介し、量子色力学に基づき、カイラル対称性の観点からK中間子の性質を議論する。さらに、散乱理論と共鳴状態の取り扱いを整理する。後半では、上述の最新の研究成果を紹介するとともに、関連する物理の進展として、状態の内部構造を定量化する指標である複合性の定式化、現代的なハイペロン散乱実験、高エネルギー衝突実験の運動量相関を用いたフェムトスコピーと呼ばれる手法などを紹介する。K中間子原子核の物理をこれから学ぼうとする学生に最適な教科書である。
目次
第1章 原子核と核力
第2章 ストレンジネスとK中間子
第3章 QCDとカイラル対称性
第4章 共鳴状態と散乱理論
第5章 Λ*共鳴とΚ中間子核子相互作用
第6章 エキゾチックなハドロン多体系
第7章 Κ中間子原子
第8章 Κ中間子原子核の実験
第9章 Κ中間子原子核の理論
第10章 今後の展望
著者等紹介
永江知文[ナガエトモフミ]
1986年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。2007年現在、京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻教授、理学博士。専門、原子核物理学・実験
兵藤哲雄[ヒョウドウテツオ]
2006年大阪大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程修了。2020年現在、東京都立大学大学院理学研究科物理学専攻准教授、博士(理学)。専門、原子核理論(クォーク・ハドロン物理)。2007年井上研究奨励賞。2008年日本物理学会若手奨励賞(核理論新人論文賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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