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中世の覚醒―アリストテレス再発見から知の革命へ

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  • サイズ B6判/ページ数 502p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784314010399
  • NDC分類 131.4
  • Cコード C0022

出版社内容情報

中世は暗黒時代ではない!
信仰と理性をめぐる論争の精神史。
 12世紀のスペイン、ヨーロッパでは闇に埋もれていった一方で、イスラーム世界で受け継がれていたアリストテレスの著作がキリスト教徒に再発見されます。従来の宗教的世界観を覆しかねないその思想はたちまち論争の嵐を巻き起こしますが、それは見方を変えれば、信仰と理性、宗教と科学のあいだに、緊張をはらみながらも創造的な対話が実現していた幸福な一時期でもあったのです。
 国際紛争の解決を専門とする著者は、数多の文献を渉猟しながら、折に触れて近・現代史のエピソードとも類比させつつ、中世ヨーロッパの知的革命をダイナミックに描き出し、その覚醒の歴史から、原理主義的な不寛容が横行する現代社会の課題をもあぶり出してゆきます。
 「偉大な学者たちの足跡を訪ね、彼らの激しい論争を再現することは、思いもかけないほど感動的で、心を奪われる経験だった」。著者自身もそう語る、スリリングな歴史のひとコマを追体験できる一冊です。

【詳細目次】
はじめに
序 章 中世のスター・ゲート――西ヨーロッパの覚醒
第1章 「知恵者たちの師」――アリストテレスの再発見
 1 驚くべき事実――ムスリムの知的財宝
 2 プラトンとアリストテレス
 3 「哲学者」アリストテレス
 4 アリストテレス思想の核心
第2章 「レディ・フィロソフィー」の殺人――古代の知恵はいかにして失われ、ふたたび見出されたか
 1 アウグスティヌスとその時代
 2 滅びゆく帝国
 3 異端者たちの行方
 4 唯一神教とアリストテレス 
第3章 「彼の本には翼が生えている」――ピエール・アベラールと理性の復権
 1 天才登場
 2 革命的変化の胎動
 3 普遍論争と三位一体説
 4 アベラールの死
第4章 「そなたを打ち殺す者は祝福されるだろう」――アリストテレスと異端
 1 民衆の宗教運動の高まり
 2 カタリ派の登場
 3 カタリ派の中のアリストテレス
 4 アリストテレス自然学への禁令
第5章 「ほら、ほら、犬が吠えている」――アリストテレスとパリ大学の教師たち
 1 托鉢修道士、大学へ
 2 「科学的な」神学へ 
 3 魅惑の自然哲学
 4 トマス・アクィナスとパリ大学
第6章 「この人物が知解する」――パリ大学における大論争
 1 急進派と保守派
 2 アリストテレス主義者としてのトマス・アクィナス
 3 断罪と復権
第7章 「オッカムの剃刀」――信仰と理性の分離
 1 終わりゆく中世
 2 「新しい道」へ
 3 オッカムの破門
 4 かくして寛容の門は閉ざされた
第8章 「もはや神が天球を動かす必要はない」――アリストテレスと現代の世界
 1 信仰と理性の緊張関係
 2 アリストテレス革命の忘却
 3 アリストテレスの遺産

◆関連本

◆ヨーロッパ中世史

◆アリストテレス

◆中世スコラ哲学

◆世界史・文化史(中世

内容説明

12世紀、イスラーム世界で受け継がれてきたアリストテレスの著作がキリスト教徒に再発見される―合理的な思考様式を備え従来の世界観を覆すその思想は、キリスト教世界に大きな衝撃を与え、信仰と理性、正統と異端をめぐって、教会と大学を論争の嵐に巻き込んでゆく。神は理性で説明できるのか?宗教と科学の調和はどこまで可能なのか?「アリストテレス革命」とも呼ぶべき、中世ヨーロッパの知の覚醒を鮮やかに描く西欧精神史。

目次

序章 中世のスター・ゲート―西ヨーロッパの覚醒
第1章 「知恵者たちの師」―アリストテレスの再発見
第2章 「レディ・フィロソフィー」の殺人―古代の知恵はいかにして失われ、ふたたび見出されたか
第3章 「彼の本には翼が生えている」―ピエール・アベラールと理性の復権
第4章 「そなたを打ち殺す者は祝福されるだろう」―アリストテレスと異端
第5章 「ほら、ほら、犬が吠えている」―アリストテレスとパリ大学の教師たち
第6章 「この人物が知解する」―パリ大学における大論争
第7章 「オッカムの剃刀」―信仰と理性の分離
第8章 「もはや神が天球を動かす必要はない」―アリストテレスと現代の世界

著者等紹介

ルーベンスタイン,リチャード・E.[ルーベンスタイン,リチャードE.][Rubenstein,Richard E.]
1938年生まれ。米国ジョージ・メイソン大学教授。国際紛争解決が専門。When Jesus Became God(未邦訳)は「パブリッシャーズ・ウィークリー」誌の最優秀宗教書に選ばれた

小沢千重子[オザワチエコ]
1951年、東京生まれ。東京大学農学部水産学科卒。水産庁勤務などを経て、現在、ノンフィクション分野の翻訳に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

41
知の革命の歴史。信仰と理性の対立と調和。12世紀、レコンキスタによりムスリム支配を脱したスペインでアリストテレスの一連の著作が再発見された(西欧の立場)。キリスト教以前の古代の”理性”の脅威に対し、アラベール、トマス・アクィナス、オッカムなどのカトリック宗教思想家は「対決」あるいは「調和」を模索していく。最終的に近現代の科学と宗教の有りようまで。神の意志の解釈を巡って、かくも厳しい論争を経ていることが西欧論理の強さの源泉になっているでは。キリスト教の歴史を知らずして西洋の歴史は読めないと改めて感じた。  2018/12/24

Shin

10
再読。歴史の表舞台からいったんは失われたアリストテレスの著作が、イスラム世界で豊かに育まれ、レコンキスタを機に西欧キリスト世界へと数世紀ぶりの復活を遂げ、アベラールやトマス・アクィナスなどの宗教家・思想家に影響を与えながらやがて宗教と科学の分離へと繋がっていく物語。初めて読んだ時、そのドラマの歴史的・知的ダイナミズムに目が眩みそうになったが、今回もいろんな発見があってとても楽しく読めた。ちなみに、カバーしている分野・時代がウンベルト・エーコ『薔薇の名前』とほぼ重なるので、同書の副読本としてぜひ推薦したい。2011/10/23

roughfractus02

6
国際紛争解決の専門家である著者にとって、中世はまさに現代にこそ生きている。「アリストテレスの子供たち」という原題は、この哲学者が起源ではなく、異文化交流によって彼の哲学が作られた点を強調する。ギリシャの書物がスペインのトレドでアラビア語訳されて知が大きく動き、地中海を舞台にしたアウグスティヌスから聖トマス、そしてドゥンス・スコトゥスとオッカムへと辿られる中世哲学は、理性と信仰の緊張によって創造性を生んだ、と著者はいう。写本を前にして修道士たちが論じる状況は、モニター越しの現代のネットワークにも出現する。2017/02/19

Kakoo

5
書名や原著名(「アリストテレスの子供たち」)から判断するとずいぶんマニアックかと思いきや、中世思想の全般の概説書と言ってよいほどの広い範囲を扱っている。しかも、ある思想が論争となる理由(社会的・政治的背景)の説明があるため、門外漢にとってはきわめてわかりやすい入門書となっている。分厚い本だが、一気に読める、いや、早く次を読みたくなる一冊。2016/10/10

ちあき

5
スコラ哲学に対するアリストテレス哲学のインパクトを論じた本。と書くとなんだか退屈そうだが非常におもしろかった。テクストを緻密に読みとき検証していくタイプの思想史記述ではなく、当時の社会の変革をいきいきと感じられるように、また「いまなぜその時代に着目するのか」が腑に落ちるように書かれた思想史である(キーワードは「信仰と理性の調和」)。これからヨーロッパの歴史や思想を学びたいと思っている人には最適。倫理や世界史が得意な高校生ならがんばれば読めると思う。夏休み課題本などにどうかな。2011/02/08

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