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サイード自身が語るサイード

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  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784314010139
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0010

出版社内容情報

活字を通して肉声に触れるサイード入門。
生い立ちからアメリカ移住までの経緯、影響を受けた音楽・文学のこと、『オリエンタリズム』に至る軌跡、政治的活動の舞台裏、知識人の使命まで──。

『オリエンタリズム』などの著作で人文諸学の潮流をリードし、死後も絶大な影響を及ぼしている、20世紀を代表する知識人、エドワード・サイードの1994年のインタビュー。生い立ちから自らの思想の軌跡まで平易に語っており、自身の肉声による良質なサイード入門書と言える。長年の良き理解者、タリク・アリによる序文(追悼文)のほか、年譜、著作リストも付す。


★担当編集者より★

【生身のサイードに(再び)出会う】

 現代思想を語る上で避けては通れないものであると知りながら、そのあまりの巨大さに、サイードという名の山脈に分け入るのを躊躇している読者も多いことでしょう。
 本書はまず、そうした読者のための道案内たることを目指しました。タリク・アリという長年の良き理解者を聞き手に、サイードはリラックスした調子で自らの思考の軌跡を平易に語っており、その内容はサイード入門としてまさに絶好のものだからです。さらには、訳注を丁寧に補い、著作リスト、年譜、人名索引も付しました。
 しかし、本書の魅力はそれに尽きません。訳者の大橋洋一氏は、以下のように書いています。
 
《エドワード・サイードの/という物語は、サイードの死をもって終わることはなかった〔……〕本書は、わたしたちをサイードの人生の半ばへと連れ戻す。〈途中からはじめる〉ことの多い物語形式は、時折、終わったあとにも、聞き手を、読者を、観客を、〈途中に投げ込む〉ことがある。本書は、継続する〈サイード物語〉の読者を、生前のサイードの姿に、その「生のさなかに」投げ込むことになるだろう。入門書として読まれる読者にとって本書は〈途中からはじまり、全体像へといたる〉ものだとすれば、〈サイード物語〉の読者にとって、本書は〈途中に投げ込まれる〉新たな体験を提供してくれる。》(「訳者あとがき」より)

 活字を通してサイードの肉声に触れていくうちに、その一言ひとことが再び彼の生き様そのものを立ち上がらせ、私たちの眼前に迫ってきます。それはすなわち、今こそサイードの「遺言」を活かす好機なのだということを意味しているのかもしれません。
〈途中からはじめる〉にせよ、〈途中に投げ込まれる〉にせよ、多くの読者に、終わらない〈サイード物語〉に立ち会っていただきたい、そう強く願います。


■週刊朝日2007/2月2日、信濃毎日新聞2007/1/14、論座2007/3月号、週間読書人2007/2/16

内容説明

生い立ち、アメリカ移住までの経緯、影響を受けた音楽・文学、『オリエンタリズム』への思い、政治活動の舞台裏、白血病のこと、知識人の使命…。不屈の知識人が自らの軌跡をたどる―。活字を通して肉声に触れるサイード入門。

目次

エドワード・サイードを忘れない1935‐2003(タリク・アリ)
サイード自身が語るサイード(少年時代について;音楽について;文学について;パレスチナについて;『オリエンタリズム』について;受容のされ方について;知識人と政治について;アメリカ的なものについて;アイデンティティについて;個人的なことがらについて)

著者等紹介

サイード,エドワード・W.[サイード,エドワードW.][Said,Edward W.]
1935‐2003。エルサレム(イギリス委任統治下)生まれのアラブ・パレスチナ人。カイロのヴィクトリア・カレッジで学んだ後、渡米。プリンストン大学、ハーヴァード大学で学位を取得し、その後は長年、コロンビア大学の比較文学・英文学教授を務めた

アリ,タリク[アリ,タリク][Ali,Tariq]
1943‐。パキスタンのラホール生まれ。イギリス在住。作家、ジャーナリスト、批評家、映像作家、政治活動家として幅広く活躍。サイードとは1970年代から親交を結び、その良き理解者であった

大橋洋一[オオハシヨウイチ]
1953‐。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は、英米文学・批評理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

29
エドワード・サイードに関心を持ち、『オリエンタリズム』を読むのと同時にこの本にも手を伸ばしてみた。サイードの思考の性格は二面性/矛盾をはらんでいると思った。確かに彼は状況に果敢に物申してきた「戦う知識人」だったが、同時に簡単な整理に収斂されることのない極めて繊細な理論を編み出した人でもあった(その産物として私たちは例えば『オリエンタリズム』を、粗暴なイスラム擁護や西洋批判としてレッテル貼りできない書物として受け取ることとなる)。サイードが読まれるべきなのは、むしろ「これから」なのかなという予感が感じられる2023/05/31

かふ

21
大江健三郎からの興味だったのが、それほど興味を惹かなくなった。サイードの幼少期からの回想インタビューでサイード入門にぴったりかもしれない。アラブ人だけどキリスト教徒で自身の中に矛盾した出自を持っていた。一つはイギリス式教育で父からの厳しさに反発しながが、母の芸術性(音楽)的趣味を受け継ぐ。ワーグナー好みとか、人と作品は別というような思想だが、そこはなんか違うと思ってしまった。サイードも自身の中に二面性があり、その分裂した思考が『オリエンタリズム』を書かせたのだろう。パレスチナのアラファトに対する不信感。2023/09/20

∃.狂茶党

7
94年の、リラックスしたインタヴュー。 自伝的な物ですが、これだけだと、食い足りない感じ。2025/02/14

belier

3
94年に行われたインタビューの記録。パレスチナ人の裕福な家庭に生まれ育ち、ナクバの憂き目にはあったものの、エジプトのカイロで英国上流階級風の教育を受け、米国の大学に進んだ。反骨精神は若い頃から旺盛だった。音楽に造詣が深いことは知っていたが、プロのピアニストを目指せるレベルだったとは驚いた。外見もお洒落だったようだし、多才な人だったのだ。さらに著書『オリエンタリズム』、アラファトやパレスチナ問題、文学など幅広い話題が語られる。文化の性質は「一枚岩的なものではなく、多様で異種混淆的で複合的」との言葉に頷いた。2024/11/16

いのふみ

0
大江健三郎からサイードへ流れてきた。サイード入門用にもファン向けにもなりうるかもしれない。己れの過去・現在を冷静に見つめ、逆境にめげない力強いことばの数々。しかし、自分にはサイードに関する予備知識があまりになさすぎた。2014/03/10

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