出版社内容情報
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本書は晩年のカッシーラーが折りにふれて公にした
科学史的エッセイを編んだものである。
プラトンのイデア論と精密科学の本質的連関を探る第一章から、
ガリレオ、デカルトの真理概念の叙述、さらにニュートン・ライプニッツ論争の真の意味を探る最終章まで一貫して、
これら偉人たちの全人格的思想(たんに個別的科学的業績ではなく)を
西洋精神史のなかに丹念に位置づける作業を通じて、
精密科学(近代科学)の本質、その成立事情を明らかにしようとする。
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Ⅰ 古代文化と精密科学の発生
Ⅱ 数学的神秘主義と数学的自然科学
Ⅲ デカルトの真理概念
Ⅳ ガリレオにおける真理概念と真理問題
Ⅴ ガリレオ・ガリレイ
Ⅵ ニュートンとライプニッツ
2003年掲載
日経新聞5/4、朝日新聞6/15
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
『認識問題』以来著者は20世紀物理学の成果から哲学と哲学史を再検討してきた。その際アリストテレス以来の実体に帰着する論理が批判され、19世紀後半の科学の精密化によって実体なる概念が崩壊し、が相互関係や機能を扱う論理に代わる(『実体概念と関数概念』)。この前提から本書は、抽象的な思考を精密科学と呼び、古代におけるその発生から、神秘主義と自然科学(サピエンティアとスキエンティア)の分離、デカルトとガリレオを数学における転換を経て、実体概念を揺るがす17世紀末のニュートンとライプニッツの微積分学の論争まで辿る。2019/05/10
takuyak56
0
カッシーラーの科学哲学についてのエッセイを編んだものということで、ここからさらに深まるか、というところで終わってしまう印象。ガリレオを近代科学誕生の分岐点とし、後代にニュートンとライプニッツが続く。個人的に興味深かったのは、ガリレオに至る数学的神秘主義の系譜を逆に遡る記述(カッシーラーのものではなくディトリヒ・マーンケの著作からの言及)。2017/08/01
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