出版社内容情報
"ながらく,シオランの「幻の処女作」と呼ばれていた本の,待望の邦訳。1933年のルーマニア――当時22歳の彼は,「ある内的大激変」に襲われた。不眠と眩暈,強度の内的""緊張,狂気すれすれの危機的状況。そこからの脱出口として若いシオランが見出したのが「書くこと」だった。そして本書が生まれた――本書はまさしく,この孤高の思想家"が誕生した瞬間の記録なのだ。
内容説明
思想家シオランの誕生。その瞬間を記録した「幻の」処女作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たーぼー
54
一切の注釈を必要としない直截簡明たる文なのだが、どこに希望を求めたらよい?こんな闇を這うような、それでいて、混沌の中で一人爆発するような感触に共感などするものか、などと振り払っても、己の精神との同一性が否応なく照らされて、自己嫌悪に陥いる。死に向かう恐怖と訪れる断末魔を生の内在として正当性を求める22歳の陶酔的洞察には、呆れと戦慄が両立する。この世に苦悩が存在する理由がわからない、などと、うそぶきながら、シオランは『書く』ことで、自ら蝋燭の火に飛び込み身を焦がす蛾の如く、己の震えを抹殺したのではないか。2016/12/27
pon
6
シオランの処女作。タイトルどおり内容は暗いのだが、文章は明るいというか、生命力に溢れているというか。絶望に浸るのではなく、絶望を対象化する文章だと思った。実際この人、不眠だ自殺だ絶望だといいながら長生きだ。若書きだからやや痛いところもある気がするが、悪役を書く時のボラーニョ(空中に飛行機で、炎から学べ、と描いたカルロス・ラミレス=ホフマン)や、ル・クレジオの神話的な語りを思い出させるドライブのある文章にはついていきたくなる。それからペソアの断章にも似てるかも。あと多分ニーチェ?当たりでした。2018/03/18
白義
6
シオランの処女作。正気でありすぎたがゆえに限りなく狂気に近づいた叫びがここにはあります。絶望を携え、全ての理想を、美徳、信念を、善良を砕き醒めすぎた洞察を語るその冷静な語り口に、22歳の若者らしい情熱が、破滅と崩壊への憧憬として現れ、美的なダンディズムが加わり芸術と化している。そういう見事な書物です。不眠、間断なき覚醒が災厄だという言葉は示唆深いです。まさに、目が覚めすぎた人間には、人類始まって以降のこの世の進歩や活動あれこれは、全て虚妄であり虚無でしょうから。そして、それはだいたい正しいようです2011/08/07
ろびん
4
読んでて妙にワクワクして楽しくなってくる。後ろに向かって全力疾走、みたいな。2020/01/20
しーぽん
2
これはまだ読めますね。中二病と言われればそれまでなのですが、絶望感、厭世観がとてもよく表現できています。一時期流行ったのも納得です。しかし、一時期しか流行らなかったのも納得です。ちょっと薄ぺっらい印象を受けました。「うーん、で?」という肩すかしをくらった感じ。2012/02/06
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