出版社内容情報
人間の身体はつねに社会のイメージとして扱われる,とモースは言ったが,本書はこの理論をおし進め,アフリカの部族社会やイギリスの現代社会でのフィールドワークを通して,何を食べ,どう装い,身体の部位をどう見るか等の人々の身体へのまなざしが,罪,悪,恥,自我の観念等の社会の深層にあるものといかに関わるか,明らかにしようとした人類学の名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
『汚穢と禁忌』で汚穢を社会外に見出す社会と儀式によって社会内に導入する社会が対照された。本書は「グリッド/グループ」の2概念の強弱を2次元グラフ化し、4つの象限に個人と社会の関係を分類する。グリッド(他者と関連付ける自己の強さの度合)とグループ(境界を持った社会単位の経験の度合)の両者が弱いとその社会は流動的であり身体が社会の象徴となることは少なく穢れの概念は希薄だが、両者が強いと役割分担が明確で社会と身体の構造が重ねられ、穢れは様々な境界と関連する。身体と境界の布置から個人と社会の関係が量化されてある。2024/04/04