出版社内容情報
エチオピア・ドルゼ族の文化を素材に、神話、言語から、礼儀作法の所作までを広く分析の対象にして、象徴表現の一般理論を提出しようとする意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
象徴表現は認知の装置であり言葉と意味という記号作用には収まらない、とする著者は、エチオピア・ドルゼ族の調査をもとに、儀礼の場とそこに参加する人たちの身体の動きやその場にある様々な物の音、色、匂いなどに触発された感覚を通した暗示的表現として象徴を行為と関係性から捉える。すると、神話や言語、礼儀作法に見られる象徴はそのつどの動的な関係性を意味するのではなく示唆する。では、もしそうなら、象徴はなぜ伝承可能なのか?どのように伝承されるのか?という新たな課題も出てくる(後の「感染」論へと展開する問題が示される)。 2024/04/19