出版社内容情報
スイスの一城主だったこの家が、なぜ世界帝国を築けたのか。ヨーロッパ史の核ともいえるハプスブルク家を知る基本図書の決定版。
加藤 雅彦[カトウ マサヒコ]
著・文・その他
内容説明
スイスの一城主が、なぜ神聖ローマ皇帝を独占し、世界帝国を築くに至ったのか。ハプスブルク家の基本文献、待望の新装版。
目次
ライン上流「鷹の城」から
日没なき世界帝国へ
オスマン・トルコ来たる
花開くバロック
マリア・テレジアの時代
会議は踊る
プロイセンに敗れる
多民族ドナウ帝国
夢の都ウィーン
世紀末精神の輝き
サライェヴォの銃声
中欧(ミッテルオイローパ)の復活
著者等紹介
加藤雅彦[カトウマサヒコ]
1927‐2015年。名古屋市生まれ。欧州問題研究家。東京大学法学部政治学科卒業後、NHK入局。ベルリン自由大学留学。NHKベオグラード、ボン支局長、解説委員。主著に『ドナウ河紀行』(岩波書店、日本エッセイスト・クラブ賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春ドーナツ
21
1683年。オスマントルコによる第二次ウィーン包囲に纏わる「伝説」をご紹介します。トルコ軍撤退後、辺りには緑色の豆が大量に散らばっていたと言う。市民は「駱駝の餌」だと思っていたが、あにはからんや、コルンツキー氏(またの名を単独潜入調査官)はそれがコーヒー豆であることを知っていたのだ!豆の山に両手を突っ込んだ途端「ビジネスチャンス」の喇叭が高らかに鳴る。これぞ「Ein Café」の誕生秘話なり。***後世の研究によると、1685年にアルメニア商人の何某が王様から特許を得て開店したのが一号店らしいです。ふむ。2018/11/08
金吾
19
ハプスブルク家の歴史がよくわかります。特に勃興のころのことを知らなかったので参考になりました。19世紀末からの一族の悲劇の連鎖は、個々の事象として今までとらえていたためはっきり認識できていないことを認識でき良かったです。2021/05/06
びっぐすとん
16
図書館本。今まで読んだハプスブルク帝国に関する本と比べると入門ガイドブックといった感じ。ただカラーなので、新書では白黒だった絵画などがカラーで見られるのはいい。「東欧」というと当該地域の人はイヤな顔をするから「中欧」という方が良いと以前聞いたことがあったが、その理由が書いてあり納得がいった。規模も期間も途方もない大帝国も始まりは小さな領土に過ぎず、やはり永遠の繁栄は有り得ないんだなあ。でもハプスブルクがヨーロッパに残したものはこれからもずっと受け継がれていくんだろうな。はぁー、またオーストリア行きたいな。2019/09/26
futabakouji2
10
19世紀に落ち目になってもう終わった印象のあったハプスブルク家であったが、意外と経済的、文化的に成長していた。しかし、19世紀はナショナリズムの時代。多民族を多く抱える帝国は国内に多くの矛盾を抱えていた。バルカン諸民族、チェコスロバキアの独立をどこまで許すのか。なんか今に通じる問題ですな。2020/07/25
ムカルナス
9
ハプスブルグ家が西欧の一貴族だった時代から大帝国になり第一次大戦後に滅亡するまでを詳説。王侯貴族による帝国jのつばぜり合いの世界が革命の波により国民国家、近代化への変貌を迫られる流れがハプスブルグ家を通して見るとよく判り勉強になった。第一次大戦の結果、ハプスブルグ帝国は解体させられオーストリアとドナウ諸民族の新生国家群に分解されるが、それはユーゴのような新たな多民族小国家となっただけて新たな紛争、悲劇を生む。ハプスブルグ帝国という強大な器になかで共存していた方が幸せだったかもしれないと著者は言う。2022/08/15