出版社内容情報
世の中を賑わせた恋愛事件が頻発した大正時代。心中・自殺も流行。大人気のイラストレーター、マツオヒロミの書き下ろし挿絵収録!
内容説明
平塚らいてうの運命の出会い、松井須磨子の後追い自殺、佐藤春夫の「魔女事件」、藤原義江をミラノに追った藤原あき、岡田嘉子が決行した雪の国境越えと銃殺された恋人等。「マツオヒロミ大正恋愛幻想」描き下ろしイラスト3点掲載!!
目次
第1章(姦通罪による投獄―北原白秋×松下俊子・江口章子;恋愛なき心中未遂―平塚らいてう×森田草平;運命の出会い―平塚らいてう×奥村博史;歌姫の情熱―与謝野晶子×与謝野鉄幹;姪との禁じられた恋―島崎藤村×島崎こま子;後追い自殺の衝撃―松井須磨子×島村抱月;サッフォーのごとく―田村俊子×長沼智恵子・田村松魚・鈴木悦)
第2章(私は誘惑していません―原阿佐緒×石原純;人妻との山荘情死事件―有島武郎×波多野秋子;筑紫の女王、恋の出奔―白蓮×宮崎龍介;「魔女事件」「妻譲渡事件」―佐藤春夫×谷崎千代;追うときも別れるときも潔く―藤原あき×藤原義江;友情の絆は、色恋の関係より強いか―澤モリノ×石井獏;恋愛放浪―山田順子×竹久夢二・徳田秋聲;「椿姫事件」そして「雪の国境越え」―岡田嘉子×竹内良一・杉本良吉)
著者等紹介
中村圭子[ナカムラケイコ]
弥生美術館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoringo
80
マツオヒロミさんの表紙に惹かれて。うっとり...大正から昭和初期の文豪や有名人たちの恋模様を写真や書簡などで詳しく解説されていました。男も女も恋愛に振り回されて、あげくに自殺したり駆け落ちしたりで、自由に結婚できなかったことが彼女らを燃え上がらせていたのかな。朝ドラにも出てきた白蓮のエピソードが一番響きました。2020/05/23
ヒロミ
64
マツオヒロミさんの表紙に惹かれて購入。マツオさんの美麗なイラストも3点収録されています。表紙は山田順子なんですね!スキャンダル女流作家順子が表紙を飾れるなんてさすが21世紀。大正恋愛事件簿と副題がついてるように大正時代の恋愛スキャンダルを真面目に取り上げた本書。個人的には平塚らいてうと奥村博史の話が好き。晩年の奥村さんはお洒落なおじいちゃんで銀髪のらいてうと仲睦まじい様子が嬉しい。奥村さん、ジュエリーデザインを始めたきっかけが「妻の指を飾る宝石がほしいから」ってイタリア人も裸足で逃げ出すロマンチストだ。2017/06/27
星落秋風五丈原
50
朝の連続ドラマ『花子とアン』で主役カップルよりも注目を集めた仲間由紀恵&吉田鋼太郎演じる伊藤伝右衛門と柳原白蓮は、白蓮が若い男に走り、新聞紙上で夫宛ての絶縁状が公開されたことで大スキャンダルに。伝右衛門が「一度は惚れた女じゃ 手出し無用」と抑え込み、男ぶりをあげたエピソードはドラマでも描かれた通り。明治と昭和の間にはさまれた大正時代、驚くほどの恋愛スキャンダルが紙上を賑わせた。中でも興味深かったのは女優の岡田嘉子。なんと二度も逃避行をしている。よっぽど逃避行が好きなのか。2017/07/21
ann
47
表紙とは裏腹に、私でも知っている恋愛譚が満載。明治に生まれ、大正を波乱万丈に駆け抜け、昭和に没した才色兼備の彼女たちの、生きること=恋愛することへのエネルギーがすごくて圧倒されながらも感動する。 あの時代に同棲婚を全うする矜恃、平塚らいてうカッコよすぎ。2019/10/13
Kumiko
39
今の時代、不倫=「ゲス」という言葉で一括りにされてしまい、文学的な情緒は一かけらもないが、この本からは大正時代のロマンや情熱をひしひしと感じた。それは単なる恋愛騒動というだけではなく、時代ゆえの堅苦しい縛りから解き放たれるための衝動も伴っていたからかもしれない。結末はそれぞれ。苦難を乗り越え結婚、あるいは離婚、心中(有島武郎の章は壮絶!)…中でも一番引きつけられたのは白蓮の章!彼女の凛とした眼差しや、愛する人と一緒になるための粘り強さ、何より離れ離れだった間に交わした文の封筒の数々、デザインにうっとり。2017/11/29