出版社内容情報
古代国家の到達した一つの展望台。律令制度はほぼ整い、国富は集中されて華麗な奈良の都が出現する。大仏開眼、そして古事記が誕生した絢爛たる時代。
内容説明
日本古代の展望台に到達し、国号を日本と定めた朝廷は、律令制度を完成し、国富を集中して華麗な奈良の都を造る。貴族は惜しみなく富を七堂伽藍にそそぎ、民衆は悲喜交々の歌を万葉に託す。貴族と民衆の織りなす史劇を、古代人の心にわけ入って構成しながら、奈良時代の実像に迫る。
目次
国家と百姓
律令公布
平城遷都
あいつぐ女帝
貴族の生活
郡司の館
家族と村落
村人の日々
和同開珎
長屋王と藤原氏
聖武に光明
大仏開眼
大唐留学
正倉院宝庫
恵美押勝
道鏡と女帝
著者等紹介
青木和夫[アオキカズオ]
1926年(大正15)、東京に生まれる。51年(昭和26)、東京大学文学部史学科を卒業。同大学助手、山梨大学助教授をへて、お茶の水女子大学教授、同大文教育学部長・図書館長を併任し、92年、同大名誉教授。その後、放送大学教授、文化財保護審議会委員も勤めた。著書に『日本律令国家論攷』(角川源義賞)など
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
68
奈良時代とは、倭から日本に生まれ変わった時代、律令が制定され国家として体を成した時代、仏教が伝来され興隆した時代、貨幣が鋳造され経済活動が始まった時代、、、。日本の礎が築かれた時代ではなかろうか。目まぐるしい政権交代、貴族や村人の暮らし、海外から受け入れられた文化など、教科書に載らない奈良時代の姿を紀伝体で叙述しています。少々ページ数もありますが、読み物としても楽しかったです。2018/01/19
KAZOO
47
奈良時代についてあまねく記述されています。このような本を読んでいつも真っ先に来るのは権力者たちの争いとか、有名人の和歌や文学作品ばかりが中心となるのですがそればかりではなく、人々の生活状況や商業の状況なども詳しく書かれていて参考になります。読んでいて網野先生の本を思い起こしました。2014/12/30
てつ
38
一般的に奈良時代と呼ばれる時代の通史。天皇の後継者争いと仏教庇護に終始している進歩のみられない時代。遣唐使などの文化的な活動もみられるにせよ、そこには庶民はおらずわずかに地方行政の萌芽があるにすぎない。ただ、正倉院であらゆる文書を保管していこうという点は、今にして思えば皮肉にさえ聞こえる。さて物語は平安時代へと続く。2020/09/19
baba
32
遣唐使が派遣され、律令を制定し、仏教が興隆し、貴族は和歌など暮らしが華やかになるが、徴用や天災飢饉で庶民の暮らしはまだ貧しい。目まぐるしい政権争いと藤原氏の台頭など奈良時代を知ることができた。2018/05/08
no.ma
20
奈良時代史の不朽の名著です。とはいえ、お堅い歴史の教科書を学ぼうと身構る必要はありません。平城遷都、大仏開眼、大唐留学あたりが実に面白く、なまじな小説を読むよりも、豊かな読書のときを味わえました。初版は50年ほど前なのでこの本自体が古文書のようでもありますが、日本の歴史の大きな流れを理解するには最適だと思います。このシリーズの他の時代も名著が目白押しのようで、読むのが楽しみです。2021/09/24