出版社内容情報
柳田「海上の道」、折口「死者の書」、宮本「生活の記録」他、卓越した想像力で日本像を再構築した巨人達の文業から、29篇を精選。
【著者紹介】
1867年和歌山市生まれ。博物学、仏教学、自然科学等をもとに独自の方法論を確立した、博覧強記の民俗学者・粘菌学者。おもな著書に、『十二支考』『南方閑話』『南方随筆』『燕石考』など。1941年没。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
67
日本の民俗学の大家4人の作品が収められています。これだけの人のを1冊に収めるるなんていいですね。中央公論社の日本の文学にもありますが、たぶん宮本さんが這いいていなかったのでは(?)。まあ昔、柳田、折口、宮本などここにはいっているのは結構読んでいるのですが、1冊に入っているので再度読みました。文学作品的には折口の作品が一番ですが、柳田、宮本の作品も読み応えがあります。2015/05/20
ねこさん
30
宮本は、宮崎駿が「読んでいないんですか」と人を嘲弄したと言われる『忘れられた日本人』と一部重複。しかし何度でも、何時迄も読んで居られる。朝まで聞いていた翁嫗の話というその空気を、秋の夜に想いながら。熊楠の『神社合祀に関する意見』は、しばらく文体が乗り移る熱量。比して柳田は読みづらく、折口の「死者の書」に至っては目で追うのがやっと。後書きから読むべきか。幼少期に見た風景、例えば叔父叔母の家の玄関に置かれた天草であったり、人が風化させてきた形にならない生活の風景と音を追想させる。腹落ちするのに、時間を要する。2022/10/18
ぐうぐう
26
民俗学の巨人達を収めた日本文学全集14巻。南方熊楠の関連本には必ずといっていいほど紹介されている神社合祀反対のエピソードだが、「神社合祀に関する意見」の全文を読んだのは、これが初めて。理路整然とはしているものの、文面からは熊楠の熱さが迸っている。そんな熊楠の神社合祀反対運動を、学問の時間が少なくなると窘めたとされる柳田國男だが、詩人としての顔を持つ柳田よりも、折口信夫のほうが、文学的な香りが濃厚だ。それほどに「死者の書」は圧巻の貫禄を放っている。(つづく)2015/04/26
starbro
25
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ第四弾です。宮本常一は初読です。民俗学や文化人類学は興味のあるジャンルなので、ボリュームの割には楽しく読めました。柳田國男は本来は遠野物語ではと思いつつ、宮本常一の生活の記録の連作が一番良かった気がします。2015/05/03
秋良
18
文語体や学術論文のような論調に苦戦しつつも何とか読了。なぜなら歴史の教科書には載ってない昔の日本を知れるのが面白いから。折口信夫の唯一の小説「死者の書」は難解ながらもぞくりとするような幻想的な美しさで、宮本常一はどんな話も肯定も否定もしない。更に昔の「当たり前」も随分多様だったことが分かる。ならば夫婦同姓や家事子育ての分担も、伝統であるという言い分が非常に怪しくなってくることになる。不確かな伝統に立脚した因習は、時代に合わせて変えていっても構わないのでは?2022/01/27
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