内容説明
遺伝子組み替え実験が生みだした生物バギは、人殺しの野獣と化していた。かつて飼い主でありたった一人の友だちだったリョウは、銃を手に、バギとの再会の時を待つ…1時間半の物語の中にリョウとバギの過去14年間が折りたたまれた、ストーリーテラー手塚治虫の面目躍如たる名作。自筆によるコンテの絵もひときわ美しい。1984年TVアニメ用描き下ろし長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
2
手塚さんの24時間テレビ用長編作品第6弾。盛り込みすぎの手塚節は控え目で、放送尺を使った新規の試みも気になりません。手塚さんの特徴はケモナー属性と生殖へのこだわりくらいです。バギを単なるネコ耳美女にしないあたりが、手塚大先生がそのへんの生ぬるい萌え作家とは次元が違うところです。物語の基本は主人公の復讐劇とヒロインと特殊な関係で、ハードボイルド基調で後味も悪くない、よい意味で普通のドラマになっています。自分としては、手塚さんの感性とは合わないので、このコンテ集に収録されているの中では一番好きな作品でした。2022/02/15