感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
8巻全100の物語をやっと読み終えることができました。この巻では14の作品が収められていますがどれも未読です。名前を知っている作者はせいぜいフォークナーとコールドウェルだけです。人生の観察ということで、あまりエンターテイメント的なものはないのですが、オー・ヘンリーなどを思い出させる物語があったりします。この作品集ではケッセルの「人形」とネミロフスキイの「舞踏会」が印象に残りました。この8巻の本はいままで図書館で借りてきましたが、古本屋で手に入れたいと思いました。2019/03/09
藤月はな(灯れ松明の火)
87
モーム編纂の『世界100物語』、読破。イレーナ・ネミロフスキーやエリザベス・ボウエンなど、好きな作家が収録されていて嬉しい^^「宿題」は既読。エゴを賭けた勝ち負けの問題じゃないよと言いたい。そして大人の振りをした子供はいつだっている。ただ、「子供の頃に体験した幸福を味わいたい」という純粋な気持ちからどん底に堕ちていく少女を描いた「人形」。大人(特に男性)の下劣さ、落魄れていく者への社会の冷たさに翻弄されながらもそこには無関心で、今も子供のままの少女に対峙した判事が抱いた感慨が読者にも鋭く、突きつけてくる。2019/03/25
春ドーナツ
18
サンキュー、モーム! 第一巻を紐解いたのが今年の5月下旬。ほぼ半年かけてゴール。全八巻で未読作家は66名。そういうものだ。本巻の恒例リスト(私好みな作品を併記):ストロング「宿題」、ケッセル、ボイエン、K・アン・ポーター、グレーザー、ルイス・ポール、ビーチクロフト、コールドウェル、ケイ・ボイル「回復期」、H・E・ベイツ「休憩所」、プレンティス、C・イシャウッド「ノヴァック家の人々」 ネミロフスキーの「舞踏会」は良かったです。*今朝喫茶店で水を所望したら「タンブラーをお取替えします」と初めて言われた。ふむ。2018/11/07
madhatter
3
平凡な人生だけでなく、逆境や転落など、特殊な人生も収められている。だが、いずれにしても、平素は水面下に潜んでいたものが、何かの弾みで露わになる構成の作品が多い気がした。但しそれらは、明らかになったからと言って、全てがわかりやすく整理される性質のものでもない。逆に人生の不可解さを増す場合もある。ボウエンの「追いつめられて」は、娘達の露出が最後まで殆どないため、余計に不可解な印象を与える。その他お気に入りは「宿題」「人形」「さくらんぼ祭」「舞踏会」「ノヴァック家の人々」。2011/02/13