目次
渋沢龍彦集成第7巻(ユートピア・終末論・デカダンス;作家論・評論・解説;書評;映画評;エッセイ・雑文)
妖人奇人館
暗黒のメルヘン
黄金時代
補遺 一九七一年(杉田総『龍神淵の少年』序;幻想庭園散歩;ピエール・ド・マンディアルグ『大理石』あとがき;散歩みち;狂王とノイシュヴァンシュタインの城 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
12
万博的なものが嫌いな澁澤が、多分ニューウェーブSFのこと知らないままで、ニューウェーブSF的なものを、称揚している。2024/11/10
梟をめぐる読書
6
一冊通して「シリーズ」として読めるのは雑誌の連載エッセイを初出とする『奇人妖人館』ぐらいのもので、あとは「撰集」に採録された評論や自選アンソロジーの解説、お馴染みの補遺(一九七一年分)といった拾遺的な文章が多くを占める。論のテーマは多岐に渡るが、そこかしこで著者の〝万博ぎらい〟が表明されているのが面白い。六〇年代の政治的熱狂は澁澤龍彦を〝権力との対決〟へと向かわしめたが、「万博」や「未来学」といったワードに象徴される七〇年代の空虚な〝お祭り騒ぎ〟は、彼の志向を同時代から遠ざけるものにほかならなかった。2013/06/30
季奈
0
1970-71年の特筆すべき事項としては、澁澤が初のヨーロッパ旅行から帰国したことと、親友の三島が米国の精神的傀儡となった日本を憂い、四十五年の生涯に幕を閉じたことだろう。 当然、この二つの背景を感じさせる文章が多い。 内容としては、書評やお得意のユートピア論、そして奇人変人の紹介など、博覧強記ぶりや文体への執着がここでも見て取れる。 特に、彼が抱いていたユートピア論は、この時期に開催された万博が創る、合理と現実に塗り固められた未来世界と相反するものであった。2021/01/12