内容説明
哲学、資本主義論、ファシズム論、時代批評、政治的アジテーションなど、冷徹にして清新、アクチュアルで挑発的なテクストをあつめ、思想家としてのブレヒトの全体像と魅力をあますところなく伝える。20世紀最も多面的で戦闘的だった劇作家/詩人/思想家ブレヒト、没後50年を機に、その全貌にせまる唯一の集成、復活。
目次
1 時代に関するノート1 1919‐1934
2 マルクス主義研究 1929‐1938
3 哲学ノート 1929‐1934
4 ファシズム・資本主義・戦争 1933‐1939
5 時代に関するノート2 1935‐1947
6 民主主義・社会主義・平和 1948‐1956
感想・レビュー
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てれまこし
7
ヘーゲルは弁証法を思考法だけではなく自然そのものを動かす法則として語った。であるから、弁証法的思考を身につけた弁証家は真の意味での自然科学者となる。こんな見方に反して、ブレヒトはあくまで実践を促す知の技法としての弁証法を強調する。科学でもイデオロギーでも、実践を無意味なものとするまで硬直化した思考をもみほぐすのが弁証法。ネガティブなものをポジティブに転化し、前向きな行動を可能にするための思考。知性のうち真理への献身よりも「遊び」との関係が深い。否定的な現実でも肯定しながら、そこに可能性を開いていく思考法。2020/12/15